アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

VERSUS THE WORLD

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「この世に安全などない。ただ機会があるのみだ」

By ダグラス・マッカーサー


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*神様、仏様、電子制御様

 クルマのパワーは上げていく以外の選択肢は無い。特にスポーツ系のソレなら尚更である。280馬力規制のキッカケとなったフェアレディZ32の時は「280馬力・・・( ̄Д ̄;)スゲェ」だったのが、今じゃ「280馬力m9(^Д^)プギャー」である(笑)今じゃFFハッチバックですら当たり前に300近く出るし、FRや4WDなら400オーバーも珍しくないし、スーパースポーツに至っては500が最低ラインで、上見れば1000オーバーなんてのもあったりする。ココで「こんなにあるんだ(゚Д゚)スゲェ!」で終わるのなら、貴方はまだ半人前のロンマニアである(爆)一人前のロンマニアならば「何故こんなにパワーが出せるようになったのか」である。


 タイヤの進化?エンジン技術の向上?ソレも確かにそうだが、やっぱ一番は「電子制御が進化したから」だとワタクシは考える。ABS、VDC、TCS等、単独でも有効なシステムが、今の時代じゃECUを中枢にして総合制御されてるのである。更にソコにトルクベクタリングだとかアクティブデフだとか、4WDなら更に四駆電子制御システムが加わるのである。昔は余りあるハイパワーを抑え込むためのドラテクが必要だったのが、今じゃその面倒くさい部分をクルマの方が自動的に代行してくれるのである。つまりプロでも悪戦苦闘するような超ハイパワーを素人でも扱えるようになったんだから、そりゃパワーを上げた方が客ウケも良いに決まってる。


 何ちゅーか、ヒューズ一個引っこ抜けばABSを解除出来たGDB時代が懐かしいのである(笑)今考えると、あのクルマって世間ではハイテクって言われてるけど、実際は結構アナログなクルマだったと思うのである。ABS以外にDCCDがあるけど、ホントにソレだけ。フロントヘビーなクルマだった&ワタクシもヘタだったんで、回る時は勢い良く回ったモンである(爆)逆に今のクルマは電子制御の塊である。ABS、VDC、TCS、DCT、アテーサE-TS、電子スロットル、電子制御サス等々。操作系統に電子制御が入らない部分が存在しないのである。確かに「自分で操る楽しみガー」と言われればその通りだが、その代わり圧倒的なパワーを安全に存分に楽しめる。ソレだけでもワタクシ的には「日産ъ(゚Д゚)グッジョブ!!」である(核爆)


*安全って何ですか?

 今のクルマはこうやって各種電子制御が複雑且つ緻密に作り込まれてるから、チューニングショップとかも涙目なんだとか。昔はヒューズ抜けば切れたABSも、今のクルマは車両システムとリンクしてるから外せない。特にZ34のソレは曲者で、チューニングすると電子制御がバグってABSが機能しなくなるんだそうである。その事は【谷口信輝選手のブログ】と【その捕捉】にもある通りである。流石にコレだけで判断するのはアレなので、ワタクシなりに色々と情報を集めてみたのである。でもってワタクシの知る限りだと、こんな感じである:

  • Z34だけでなくZ33RX-8にも起こっていて、どちらもBOSCH製のABS
  • その原因として一番可能性が高いのが「前輪と後輪でのタイヤ外径の前後比が純正と異なった事による」というモノ
  • ABSはタイヤの前輪と後輪の双方で車速を測定してる&Zは前後で違うタイヤを履いてるため、タイヤ交換による影響が出易い
  • 起こった場合の対処法としては「一度ブレーキを抜いてABSロックを解除する」というモノ
  • でもってこの現象、フルノーマルでも出るとの事
  • ソレに対する日産(てゆーかBOSCH)の見解は「ノーマル&公道以外の事は(´・ω・`)知らんがな」というモノ
  • 実際にABS誤作動が起こってるのはサーキットの中での話であり、公道&フルノーマルでは確認されてない
  • この事は数年前からZ乗りの間でも相当問題になっており、訴訟を考えてる人までいるのだとか。

とまぁ、ワタクシが知ってる限りの情報を簡易的に書くと、丁度こんな感じである。でもって。コレが参考動画である:

本来ならABSが作動して「コツコツコツ」って感じにロックを解除する制御が入る筈なのに、そのまんまロックしっぱなしになるって話である。解決法はABSの無いクルマのソレみたくブレーキを抜いてロック状態を解除すれば良いらしいのだが、何せABSが当たり前の状況になってる時に突然そーなったら対処のし様が無いって話である(´ヘ`;)


 でもって、ココから先はワタクシの見解である。この谷口信輝選手の話には賛否両論あると思うが、ワタクシは敢えて「否」に一票である。やっぱ「スポーツカーを買う人はブレーキを交換するに決まってる。それくらいを見越したABSの賢さを用意しないとダメだと思う」の行には賛同できないのである。ワタクシは医師なので、メーカーの気持ちがよく分かるのである。例えば患者さんに「処方された薬を用量守らず飲んだら副作用出た。この薬はそうやって飲むのが通例になってる。ソレを見越した薬を用意しない貴様や製薬会社に謝罪と賠償を要求しる!」なんて言われても、ワタクシは「そんなん知るかバカヤローヽ(`Д´)ノ」としか答えられんのである(笑)相手の立場に立ってモノを考える、コレ非常に重要である。


 チューンドである事、ソレを公道以外で乗った事。この2つだけでもNGなのだが、一番大きいのはやはり「そういう症状が出ると分かってて尚、チューンドZに乗った」って事である。いくら「僕はブレーキがちゃんと働かない車は全然乗れません」「Z34はABSに病気を抱えています」って言っても、その仕事を引き受けた時点で文句は言えないのである。無論、プロなら一度引き受けた仕事はやらなきゃダメだが、出来ない仕事を引き受けないのもプロとして重要な事なのである。つまりワタクシに言わせれば、こうなる可能性があると分かっててZ34を出した出版社と、こうなる可能性があると分かっててチューンドZ34を出したショップと、こうなる可能性があると分かっててドライブ引き受けたドライバーのが問題アリという事なのである。


*メーカー側の責任

 無論、ワタクシは日産&ボッシュに落ち度が全く無いとは思っていないので、ソコんトコ悪しからずである。じゃあ今後はどうすれば良いのか?ワタクシの答えは「チューニングしたい&サーキット走りたくてコレが怖いのなら、Zを降りた方が良い。ソレでもZが好きならば、ABSを効かせない走り方をマスターすべし」である。言っちゃ悪いが、Zってのは抑々そういうクルマなのである。ニュル北で徹底的にテストしてるR35やポルシェやBMWとは違い、Zってクルマは法定速度内でワインディングして楽しむためのクルマなのである。だからメーカーも「ノーマル&公道で無問題ならおk。サーキット?(´・ω・`)知らんがな」ってスタンスなのである。だから弄りたい&サーキット走りたいなら、大人しく別のクルマを探すべきなのである。


 ソレでも「Zが好きだッ!Z以外のクルマで走る事なんか考えられないッ!」って言うのなら、その意思を貫くしかない。フェラーリランボルギーニなんかはABSどころかエンジンから火を噴くけど(笑&実話)好きな人はソレでもなお乗り続ける。良いトコも悪いトコも、その全てを「クルマの個性」として包み込む。ソレが「クルマを好きになる」って事だとワタクシは思うのである。古人曰く「忘却は最大の復讐」という事であるが、Zに文句があるのなら日産に直訴したり訴訟を起こしたりするよりも、黙って降りて二度と乗らないようにするのが一番だと思うのである。クルマ好きに捨てられる。メーカーにとってコレ以上の屈辱は無いからである。さて明日も早いので、そろそろ〆ようと思う今日この頃であった。


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