アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

BRAVE MURDER DAY

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「人間の信頼関係というものは、普段から下らない事でも話し合うこと。そういうところから少しずつ生まれてくるものである」

By 森祇晶


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*昭和のニッポン人エンジニア

 水野和敏氏は良くも悪くも昭和の人間で、良くも悪くもニッポン人で、良くも悪くもエンジニアだった。前にも似たような事を言ったと思うが、コレが水野氏に対するワタクシの素直な感想である。何故水野氏の言葉が多くの人の心を捉えるかと言えば、水野氏が「ニッポン人かくあるべし」のある意味理想形だからである。良いか悪いかではなく”合う”のである。当初から「ニッポンのモノ作り」を前面に押し出したスタンス。クルマに対し「大事なのは中身」だというスタンス。売る時の「良いモノを作ったんだから必ず評価される筈」という信念。そして「信念曲げるぐらいなら辞めた方が良い」っていう滅びの美学。メーカー云々関係無く、そりゃニッポン人の浪花節にグッとくる筈である。

 何ちゅーかニッポンが開国したての頃、海外では賄賂が当たり前だった税関において「我々はサムライだから賄賂は要りません」といった役人とか、戦後間もない頃に闇米を食わずに餓死した判事とか、その辺りの大和魂をファンは水野氏から感じ取ってるのであろう。ソレはソレで素晴らしい事だとワタクシも思うが、残念な事が一つだけある。トヨタやホンダみたいな純ニッポン企業なら兎も角、日産はフランスの企業だったって事である(笑)欧米人の考える事は常に1つ。ソレは「結果が全て」って事である。だからホントなら信念を曲げてでも販売数を稼ぐために、所謂「バカを一本釣りするためのスペシャルモデル」を設定する必要があるのである。例えばNISMOとか、NISMOとか、あとNISMOとかである(爆)


 欧米なんかソレが上手くて、ニュル北でタイム出すためだけの実質レーシングカー的なモデルだとか、金持ちのスペック厨向けの馬力だけムダにあるモデルだとか、プレミア出すためだけの限定モデルだとか、そんなモンが色々あるのである。が、水野氏はソレを良しとせず、あくまで「ニッポン人の美学」に拘り続けた、バカ向けのキワモノを作る事を拒否り続けたワケである。でも現実は「ニッポン人のこだわり」を盛り込んだ【SpecV】と【Egoist】の売り上げを足しても、ワタクシのようなバカのパワー厨向けの【NISMO】の半分にも至らなかったって事である(^_^;)良いのか悪いのかではなく、フランス人がトップ3を占めてるフランス企業においては、やはり「結果が全て>滅びの美学」だったんじゃないかとワタクシは思うのである。


*話せば分かる?

 話は変わって、ようやく話し合いの目処が立ったのである。件のR35NISMOの納車遅れに関しての公式発表は、どうやら15年モデルの発表と同時に行うっぽいのであるが、ソレとは別に日産本社のGT-R開発スタッフの中の人&NISMOの中の人がR35NISMOをオーダーした人に対し個別に訪問してるって事で、その中には当然だがワタクシも含まれてるって話である。菩薩の如き笑顔に不動明王が如き心を宿し、紳士的な態度と物腰から情け容赦ない追求と要求をし、その様子は当然ブログにもアップする予定なので、刺激に飢えていたロンマニアの皆様は乞うご期待である(笑)まぁホントなら今頃は納車されていて、サーキットシーズンにギリギリ間に合うように怒涛の慣らしをしてた筈なのだから、ワタクシの行動は至極当然なのである(爆)


 前にも言ったと思うが、ワタクシは本社やNISMOの中の人を吊し上げるつもりなど毛頭無い。ワタクシはただ単に、今後も気持ち良くディーラーやNHPCや日産とお付き合いしたいだけであり、その為にワタクシは納得のできる回答が欲しいのである。実に簡単な話である、ワタクシが置かれた今のこの状態で、果たして今後も日産車を買いたいと思えるか。答えは当然「ノー」である。もし今「1〜2月には間違いなく納車できます」と言われたとしても、ワタクシは間違いなく「じゃあ念書書いて」って言う。一度ならず二度も約束をすっぽかされたんだから、三度目が信用できるはずが無いのである。ワタクシ自身が買うのは勿論の事、他人にも自信を以って日産車を薦める事が出来ないのである。


 今のワタクシに「日産の○×買いたいんだけど、どうよロンさん」と問われても、ワタクシは「良いと思うけど、最悪の場合納車時期を何度も延ばされて、最悪納車予定日から半年以上遅れる事になるよ」としか答えらんないのである(笑)虚偽でも誇張でも何でもなく、ワタクシ自身が体験した事実なんだからしゃーない(爆)だからこそ、ワタクシを納得させてほしいって話である。納車は思いっきり遅れたけど、その代わりメチャクチャ誠意を見せる。そうすれば「確かに遅れたけど、その代わりココまで良くしてくれたから、ココはチャラって事で( ̄▽ ̄)」という感じに、今後も気持ち良く付き合えるのである。もしワタクシが日産の偉い人なら、間違いなくそうする。商売人にとって、信頼は何よりも大事だからである。


*信念や矜持がこの先生きのこるには

 コレ言うとタラレバになるのであるが、もし水野氏が今でもR35の開発責任者だったら、こういう事は絶対無かったと思うのである。水野氏だったら、多分最初の月に(本来の約束だった)5台を納車できなかった時点で既に動いてただろうし、ソレ以前に月5台しか作れないサプライヤーなんかに依頼なんかしなかったはずだからである。実際、フロントバンパー作ってるC社はシッカリ納車できてる(遅れてるのはT社製のリアバンパーとサイドステップ)んだから、言い訳無用である。SpecVやEgoistのカーボンパーツや、ノルドリンクに収めてるカーボンパーツも、実はこのC社の製品なのである。てゆーかソレ以前に、水野氏は「バンパーをドライカーボンで作る意味が分からない」と言ってたとか言わなかったとか(^_^;)


 だからワタクシ個人としては、やっぱ水野氏にR35開発責任者としての使命を全うしてほしかったし、その為にバカ一本釣りモデルを作ったとしても、ソレはソレで許すつもりである。もし水野氏が自身の会社を立ち上げてソコで作ったクルマならば、水野氏の信念や矜持の赴くままにクルマ作っても全然おkなのである。が、残念ながら水野氏は日産の社員であり、社員であるならば会社の利益を優先させなければならないって話であり、日産はフランス企業なんだから「おもてなしの精神」や「滅びの美学」は理解され難いって話である。確かに信念や情事は大切ではあるけど、死んでしまったらソレも無くなってしまう。目的を果たすためには、生き残るしか道はない。だから生きるためには、ある程度の妥協は必要である。そう思う今日この頃であった。