アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

AN AMERICAN PARADOX

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「あの虚構の都市が、どうしてかくも人を惹きつけるのか。思うに、それは人間が、現実と同じ程度に虚構を必要とする生き物だからである」

By 大嶋仁


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*クルマ文化2002年問題

 ニッポンにおけるクルマ文化の云々は2002年で時間が止まっている。コレがワタクシの持論である。2002年は何の年かって、排ガス規制の強化が施行された年である。この年の前後でBNR34、JZA80スープラFD3S、S15シルビア、チェイサー、ソアラアルテッツァインテグラGTOといった当時のクルマ文化を支えていた名車たちが次々と生産終了していったのである。ソレに加えバブル景気が本格的に終わってしまい、バブル期のように若者がクルマにカネを安易に注ぎ込めなくなってしまったのもこの頃である。よーするに若者を中心に盛り上がってたニッポンの一大クルマ文化の流れが、この2002年を境にしぼんでいったワケである。ソレ以降はロンマニアの皆様もご存じのように、若者のクルマ離れとかやらの始まりである。



 クルマそのものが減っていくのと同時に、クルママンガもこの年を境に廃れていったモンである。新連載のクルママンガは殆ど出てこないし、クルママンガの二大巨頭である「頭文字D」と「湾岸ミッドナイト」に出てくるクルマも2002年以前のクルマが中心のまま。よーするに、今まで培ったクルマ文化ってヤツが、ありとあらゆる面において2002年で時が止まってしまってるのである。ワタクシの知る限り、今もクルマに夢中になってる面子ってのは、大体この2002年以前から夢中になってたヤツ等が殆どである。今の状況は何ちゅーか、乗り手も作り手も過去の遺産を食い潰している状態である。この世代がまだ稼いでいてクルマ運転できてる間はまだ良いが、20年後30年後はどうなるんだって話である。


*ポスト2002年のクルママンガ

 2002年から15年経った今、スポーツカーはスッカリ金持ちの乗り物になりつつあって、内燃機関オンリーからハイブリッド、PHEV、レンジエクステンダー、EVとドンドン移行していって、ソレに加え自動運転の普及も間近ときたモンである。2002年前の世代が良しとしていたモンが、時代の変化や技術の進化により悉く覆されていってるのである。そんな時代の中、遂にアレが帰ってきたのである。そう、二大巨頭の一つ「頭文字D(以後イニD」の作者が新たに描く新世代のクルママンガ【MFゴースト】である。ぶっちゃけた話、ワタクシはイニDは余り好きじゃなかったのであるが、この作者が今時のクルマをどう描くかは興味あるのである。何せもう片方の巨頭の新作は未だに「空冷ポルシェガー、RB26ガー」なんだから、尚更気になるってモンである(笑)


 何せ「約10年後の近未来」「自動運転の時代」なんてキーワードがあらすじに出てくるんだから、クルマに興味がある人間として気にするなという方がムリな注文である。読んでみたら「成程、コレなら車種云々は現代のが問題無く使えるな(^▽^)」って思ってしまった次第である:

  • 舞台は202×年のニッポン、つまり199×年舞台だったイニDの30年後
  • EVとFCVと自動運転が既に主流になっており、手動のガソリンエンジンのクルマはもう生産されていない
  • レースはMFGというクローズドな公道を舞台にしていて、イニDのような野良試合ではなくモータースポーツと化している
  • グリップウェイトレシオといって、車重に合せてタイヤグリップが決められている、4WDやMRはハンデ付き、パワー制限はナシ
  • どうやらイニDと同じ作品世界を共有してるっぽい

コレならば近未来になっても古いクルマが出てくる事に違和感が生じないし、リアルで今後出てくるであろう新車を作品に登場させたって違和感は無いし、近未来の架空車を登場させる必要も無い。中々良く考えられた設定である。冒頭からいきなりR35NISMOが出てきたように、どうやらこの作品は外車スーパースポーツがメインに座るみたいである。


 前作イニDはAE86の中古価格を高騰させ、ニッポンにドリフトブームを巻き起こした程のエポック的作品であったが、今回のコレはソコまでの影響力は無いだろうなと思うのも、やっぱこの登場車種ゆえである。果たしてこの後どうやって国産車を出していくのか、ソコは気になるトコである。あと気になるトコは:

  • スポーツ扱いな割にはドライバーがヘルメットもレーシングスーツもレーシンググローブもしてないし、車内にロールケージとかの安全装備が見られない
  • グリップウェイトレシオのレギュレーションが見当たらない
  • グリップウェイトレシオがあると言っても、ダウンフォースや空力の規制は?

とまぁ、こんなトコである。特にダウンフォースは重要であり、コレがあれば「軽い車体には細いタイヤしか使えない」というハンデがひっくり返るからである。もしワタクシがこのレースに出るとしたら:

軽い車体を選び、パワーも上げられるだけ上げる

思いっ切りダウンフォースを稼ぐ事でタイヤグリップとトラクションを補う

(゚д゚)ウマー

ってなるからである。何ちゅーか、作者はイニDの時の野良試合→安全装備もレギュレーションも無かった時のソレから脱し切れてないように思えるのである。今後どうなるかは、ちょっと注目して読んでみようと思うのである。


*ポスト2002年のクルマ文化

 さてソレよりも、ワタクシはリアルクルマ文化の方が気になるのである。上記にも書いたと思うが、ユーザーの高齢化や先細り、若者のクルマ離れ、スポーツカーの高価格化&高級化もあるのだが、やっぱ自動運転とガソリンエンジン離れが今後のキモになってくると思うのである。日産が【ノートe-Power NISMO】を打ち出してきて、今度発売される新型リーフにもNISMOバージョンが予想されるように。アマチュアの世界にも電動化の波が迫ってきてるのは事実なのである。でもって、チューニングショップだとかメーカーだとかがソレに備えた準備をしているかと言えば、ワタクシはそうは思えないのである。ノートもリーフもサーキット走行じゃ様々な問題が出て来ているが、ソレが解決されたかと問われたら全くノーである。



 外装や内装や足回りは何とかなるけど、肝心のモーターやバッテリーには手が出せないのである。パワーアップモーターやバッテリー増設だとか、やれる事は色々あるんだろうけど、総じてやれてないのである。まぁ絶対数が少ないと言われればソレまでだけど、絶対数があったとしても作れたかどうかは甚だ疑問である。ミッションも今後は2ペダルが主流になるだろうし、サスペンションだって電動のソレがメインになっていくであろう。その他、電子制御されるモンは増える事はあれど、減る事は無いであろう。そんな時代にクルマ文化はどうなっていくのかというのが、古い世代のワタクシとしては一番気になる部分なのである。まぁとは言っても今はまだまだ楽しめるので、楽しめる間に楽しんじゃおうと思う今日この頃であった。