アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

DARK BEFORE DAWN

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「シンプルさは究極の洗練である」

By レオナルド・ダ・ヴィンチ


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*内から外へ

 まだクルマに目覚めたての頃、ワタクシは何時も不思議に思ってたのである。国産車の方が安くて速くてパーツも多くてメンテも楽で色々と便利なのに、何故クルマ好きを称するヤツ等はカネを持つと挙って外車に走るのか、と。でも時を経て色んなクルマを味わった今、ワタクシはこう思うのである。国産車の方が安くて速くてパーツも多くてメンテも楽で色々と便利だけど、クルマ好きを称する人ならカネさえあればそりゃ挙って外車に走るわな、と(笑)ブランド力?虚栄心?自己満足?確かにそれも少なからずあるが、一番はやはり「奥の深さ」である。クルマに沢山乗るようになり、色んな事を身を以って知る事により感ずる「もっと○○があれば良いのに」の○○が、外車には多く秘められているからである。


 ワタクシは別に、国産車が劣ってるだとか遅れてるとか、そういう事を言ってるワケではないのである。国産車も技術的には負けていないけど、取捨選択がヘタなのである。ガラケーが良い例だけど、殆ど使わないようなムダな装備を山ほど付けていて、ムダな部分での装飾に拘っていて、重くて使い難くなっただけのソレを「高級品」と名付けて売る。言っちゃ悪いが、クルマにも似たようなモンを感じてしまうのである。改めてその事を感じたのが:


コレに試乗してからである(笑)クルマ属性の無いロンマニアの方々からしてみれば「クルマの試乗ネタはもうアキタ━━━(#゚Д゚)━━━!!!!」なのだろうけど、今一番書きたい事がコレなんだからしゃーないのである(爆)この【BMW・M4クーペ】は以前からずっと試乗してみたかったのであるが、今回ようやくその機会を得たのである。何せ乗ったそのインパクトが強烈だっただけに、流石のワタクシも反対を押し切ってでもネタにせざるを得なかったのである(核爆)


*ニッポンよ、コレがFRスポーツだ。

 先ずドラポジであるが、コレは流石本場ヨーロッパでのモタスポの歴史の長いBMW。言うまでもなく完璧である。スポーツ走行する時の「コレがココにあって欲しいッ!」ってのが、ほぼ全て揃ってるのである。シートはモタスポ向けでないのが残念だが、ソコんトコは後で何とでもなるモンである。純正でドラポジがバッチリならば、社外を入れてもほぼバッチリに収まるからである。最近のクルマらしく、ステアリングとサスペンションとエンジンレスポンスに「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」のモードがあり、全部自分の好きな様に設定できるのである。あとVDCとか電子制御デフとかDCTのレスポンス、HUDの表示も色々設定できるのであるが、残念ながらソレをやる時間は今回無かったのである(^_^;)


 コンフォートモードは、まぁ名前が示す通り街乗り専用モードである。アクセル踏み過ぎてもガツンと来ないし、エンジンも燃費中心だし、脚も柔らかい。が、コレがスポーツプラスに変わると全てが激変するのである。エンジンは僅かなアクセルの動きにも機敏に反応して、アクセルをグッと踏めば低速からドカンと加速が来るし、ステアリングはパワステが殆ど効いてないんじゃないかと思うぐらい重くなり、脚はシッカリと地面を捉える。完璧なまでにサーキット向けのソレに早変わりするのである。レスポンスがメチャクチャ早くなるんだけど、でもクルマが暴れる感じは全く無いし、ワタクシ如きでもちゃんとコントロールできる。スポーツ走行が好きなロンマニアの方ならば、間違いなくこの時点で全身の穴から激しく体液を噴出させる筈である(笑)


 でもって走りはどんな感じかと問われたら、ワタクシの感想は「とにかく挙動がメチャクチャ分かり易い」である。アクセル踏めば荷重が後ろに行ったのが分かり易過ぎるぐらいに分かるし、アクセル離せば荷重が前に行ったのが分かり易過ぎるぐらいに分かるし、コーナリングすれば荷重が横に行ったのが分かり易過ぎるぐらいに分かるのである。ブレーキを踏んでも前のめりになる事は無く、ボディー全体で沈むように4輪に効くのである。エンジンもどっかんターボの扱い難さは全く無く、低速から力強く安定して効いてくるから怖さが無く、でもちゃんと「ターボキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」って高揚感が得られる。何ちゅーか、クルマ好きの考える「ぼくのかんがえたさいきょうのえふあーるすぽーつ」をそのまま地で行くようなクルマなのである(笑)

FRでのスポーツを徹底的に突き詰めると、こういう形になる。その答えの一つを、ワタクシはコレに乗る事で得た希ガスのである。ただサーキットで速いだけじゃなく、街乗りしても十分過ぎる程乗り心地が良い。ただ単にエンジンパワーを上げて足固めてタイヤ太くしただけの国産チューニングカーじゃ逆立ちしても得られない、FRを何十年も突き詰めてきたメーカーだからこそ作れるクルマである。言っちゃ何だか、WRX-STIスイフトスポーツじゃ足元にも及ばないのである(笑)もしもワタクシにFR属性があったら、間違いなく「マジかよ糞R35売ってくるッ!」ってなっていたであろう(爆)速さだけではないFRの魅力ってヤツを、今回の試乗で僅かながらも堪能させて貰えたのである。


*ニッポン車は遅れてる

 あと個人的に何が気に入ったかって、このM4には「BMWの顔」が良く表れている事である。BMWというメーカーがどういうクルマを理想としているのか、他のメーカーと比べ何処がどう違うのか、そして「コレがBMWの走りだッ!」の答えがM4というクルマに全て現れているのである。何ちゅーか「作り手の顔が見えるクルマ」って言うのは、こういうクルマの事を言うんだなって分ったのである。ワタクシの周囲にも「M3ガー、M4ガー」っていう人が大勢いて、実際3台乗り継いだ人も居て、水野和敏氏も「コレには参った」と言わせしめるだけのモンはあるのである。良いか悪いか、速いか遅いかではなく「BMWの走り」っていう他メーカーのクルマじゃ得られないモンがソコに詰まってるのである。


 ココ最近の試乗でVWゴルフGTI、BMW・M4と外車に2台ばかし乗ったのだが、改めて「やっぱニッポン車は遅れてる」と感じた次第である。劣ってるのではなく、遅れているのである。少し前までは「た、確かにニッポン車は遅れてるかも知れないけど、まだこっちの方が速いから(震え声)」とも言えたのであるが、最近じゃその速さまでもアッサリ追い越されてしまってるんだから、もう言い訳の余地は無いのである┐(´д`)┌今はまだ80年代&90年代の世代が現役だから、その思い出補正で何とかやっていけてるけど、その先はどうするんだって話である。上の方には追い付けないし、下からは中韓はじめとするアジア勢が徐々に迫ってきてる。正に八方塞がりである。


 確かに80年代&90年代はニッポンのモータリゼーションにおいて重要な意味を果たしたのは間違いないのであるが、一番肝心な「真のクルマ好きを育てる」って面では未だ成功していないと言わざるを得ないのである。何故ニッポンにBMWやポルシェのようなメーカーが無いかって、ニッポン人がソレを求めていないからである。だからメーカーも出来る限り大勢の人に売りたいという事でそっちに流れちゃうし、走りを求める少数の人は「じゃあ外車の方へどうぞ」ってなっちゃうのである。まぁ最近はトヨタとかも頑張っているのであるが、やっぱ経験と時間がいかんぜん足りなさ過ぎるのである(^_^;)果たしてワタクシが生きてる間に、真に欧州車と太刀打ちできるような国産車に巡り合えるのか、少しだけ楽しみな今日この頃であった。