アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

COME CLEAN

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「成長のための成長の時代がバブル崩壊で終わって、その後片付けと掃除に10年。その後は、ただ浮かんでいるだけのような10年」

By ピーター・タスカ


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*保守って何ですか?

 小林よしのりが「戦争論」を描いたのは、ワタクシが大坊の頃である。今思えば、アレの影響はホント凄かったのである。当時のオウム問題や薬害エイズ問題を「マンガ家という立場でマンガを利用する事で問題提議する」という斬新な方法で有名化した小林氏が、その知名度と「保守に転身した」という話題性で描いた作品なんだから、注目されない筈が無いのである。結果としてこの本は堅苦しい上にタブーめいた内容であるにも拘らず40万部も売れ、当時のサヨク一辺倒で「保守=特攻服着た右翼めいた時代錯誤でダサい存在」だった保守派のイメージを覆す結果になったのである。その成果は「戦争論」のメインターゲットである若者が社会に出て成人となり重要ポストに就くようになった今に現れ、保守派が国会で多数派を占める状況になったのだから、やっぱ凄いマンガだったのである。


 その小林よしのりが今回の選挙で「1に立憲民主党、2に共産党。この2政党こそが真の保守だ」って言いだしたのであるから、そりゃビックリするなってのがムリな話である(^_^;)その時ワタクシは、何となく分かっちゃったのである。小林氏は保守でも革新でもなく、右でも左でもないのである。小林よしのりは今も昔も「反リア充」なのだと。よーするに歴史教科書の時は「保守=時代錯誤でダサい=非リア充」だったから支援したのであり、今の時代は逆に「サヨク=時代錯誤でダサい=非リア充」だから支援してるのではないか、と:

小林氏は自身でも語ってる様に、いじめられっ子の非リア充出身である。いじめられっ子の非リア充が何らかの力を得たら、やる事は多くの場合”復讐”である。自身がいじめっ子のリア充と化して復讐するか、或いは自身はサポートに徹して下剋上を演出するかである。小林氏の場合、この後者に相当するのである。前者なら、自身で立候補するからである。


 あと最近の小林よしのりの論調はある程度目を通してみたのであるが、どうやら氏が理想としてる「守るべきニッポンの姿」とは、どうやらバブル期までのニッポンの在り方みたいなのである。大きな組織の中に正反対の考えを持つ人達が何故か上手く共存していて、多少の格差はあるものの絶望的な大きさではなく、各々の国民が”公”を胸に抱き法律云々よりも恥で自らを罰する。そんなニッポン特有の在り方を守る事が氏の言う”保守的”って事であり、欧米型の格差社会覇権主義新自由主義を受け入れつつある安倍政権(及び自民党やそのバック)は”保守の敵”ってのが氏のロジックであり、今回サヨク陣営に組み成してるのも「敵の敵は味方」って事みたいである。


*バブルを忘れられないニッポン

 ワタクシは前々から言ってる事であるが、ニッポン人の多くはバブル時代に囚われていて、ソコから脱する事が中々できないのである。政治や経済や社会は勿論の事、クルマやゲームやマンガに至るまでである。その栄光が余りにも強すぎるから、ソレが失われた今に至っても「新しいモンをまた作ろう」ではなく「どうやれば昔に戻れるか」を考えるようになってしまってるのである。野党が「安倍政権の退陣こそが最大の景気対策」とか言っちゃうのも、この回帰願望を擽ってるのである:

バブルの時代は最高だった

上手く行かなくなっちゃったのは、リーダーと直属部下の管理が悪いから

つまりリーダーと直属部下を取り換えて問題点を改善すれば、また元に戻せるかも知れない

故に安倍政権は退陣すべき

(゚д゚)ウマー

というワケである。そう、与党も野党も官僚も「国民の多くはホントは何も変えたくなく、ただ良かった昔に戻れればソレでいい」って事を分かってるからこそ、具体的な改革案が出せないのである。でもって政治や社会や経済をソレなりに齧ってるロンマニアの方ならば察しが付くと思うけど、もうあの時代に戻る事は不可能なのである。


 あの時代のニッポンが何故あそこまでの経済大国になれたかって、理由は3つである。1つ目は、あの当時に安くて高性能で高品質な商品を作れた国がニッポンだけだったという事。2つ目は、あの当時は冷戦真っ只中という事もあり緊張してたけど、そのお陰で寧ろ安定してたという事。3つ目は、あの時代にはまだネットが無かったから、対海外の情報やモノの流出入に制限があったからということである。でもって言うまでもない事であるが、今は中国製や韓国製が背後からガンガン迫ってきてて一部追い越してるし、ソ連消滅とアメリカ弱体化でカオス状態だし、ネットで海外からモノや情報がガンガン入ってくる。そんな状態で、どうやって元のバブル時代に戻せるんだって話である。




 だから今の若い子達が圧倒的に自民党支持なのも、彼等はバブル時代を知らないからである。あの時代を知らないから「退陣させて雰囲気を変えれば元に戻れる」って言われても、その”元”を知らないんだからピンと来る筈が無いのである。でも中年以降の連中にとってあの時代は栄華の頂点なのであり、あの時代の成功体験があるこそ今があるのであり、ソレを否定されたくはないのである。特にニッポンは縦社会の上意下達文化があるから、ソレも重なって若い人達のモチベーションを更に奪っていくという悪循環が続いているのである。ワタクシが思うに、ニッポンが本格的に変わるためには、このバブルを知らない世代が中枢を担うぐらいまで待つ必要があるんじゃないかと思うのである。


*脱バブルのススメ

 だからワタクシは前々から言ってるけど、また改めて言うのである。ニッポンが前に進むためには、バブルを忘れる必要がある、と。政治や経済や社会についてはその専門家に任すとして、ワタクシはもっといい加減な分野から語ろうと思うのである(笑)例えばクルマなんかが良い例だけど、未だに80年代後半〜90年代前半の価値観に支配されたヤツの多い事多い事(^_^;)スポーツカーはMTじゃなきゃダメ云々、値段は300諭吉前後でなけりゃダメ云々、買ったら弄らなきゃ面白くない云々、エンジンはNA高回転が素晴らしい云々。もうあの時代は終わったのに、未だにこういう価値観に囚われて「今のクルマはダメだ」とかいうヤツが多く、実際ワタクシの知り合いにも何人か居たりするのである┐(´д`)┌



 ゲームとかも同じである。もうネットで常時繋がってるのが当たり前の時代になって、ソレを活かしたゲームこそが今の主流なのにも関わらず、和ゲーは未だに「DQガー、FFガー、ゼルダガー、マリオガー」である┐( ̄ヘ ̄)┌80年後半のファミコンブームの感覚がそのまま今でも続いてるし、永遠に続いてほしいとも思われているのである。まぁ言っちゃ何だけど、ニッポン人は自身の衰退を受け入れられないのである。受け入れられないからテメェの内側に籠って、外部情報は聞いて聞かないふりをして、昔の栄光に浸る事で事実から目を逸らそうとしてるのである。ワタクシは何度でも言うが、あの時代は何をどうやってももう二度と戻ってこないのである。今すべきは、少しずつでも良いから前へ進む事。そう信じて止まない今日この頃であった。