アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

RE:(DISC)OVERED

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「役者というアンダーシャツを着て、役者というセーターを着て、役者というコートも着ている感覚なんです。何枚脱いでもまだ役者という服を着ていますよ、みたいなね。もっと言えば、裸になっても役者という肌がある、そんな確信を持ちたいんです」

By 西田敏行


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*FD2シビックの思い出

 サスペンションの固さは何で決まるかご存じであろうか?答えは「ダンパーの設定」である。スプリングだと思われがちなのであるが、スプリングを固くしても揺れ幅が小さく速くなるだけで、ソレだけじゃ乗り味はゴツゴツにはならないのである。現にR35のスプリングレートは前20k後12kと相当ハードだけど、乗り味はあんま悪くないのである。逆に今の2つ前のシビックTypeR(通称FD2)は前4.8k後6.5kと柔らかいのであるが、僅かな段差でケツを蹴り上げられたような衝撃が来るので、とてもじゃないが街乗りに向かないのである(^_^;)

ドリキンも言ってるけど、マジでレーシングカーの様な乗り味なのである(^_^;)ワタクシも昔FD2に乗った事あるのであるが、足が固いのは上記にある通りで、レブリミット8500rpmの超高回転NAエンジンで、フライホイールが軽いからアクセル離すとすぐに回転数が落ちて、クラッチ半クラッチ領域が狭くて圧着力も強いからテキトーに繋ぐとドカンと来る。つまりスポーツ走行やるように高速でスパスパ変速させなけりゃ、FD2というクルマはスムーズに乗れないのである。パワーは225馬力と当時の同クラスのライバル(GRBCZ4Aなど)と比べると劣るけど、この硬派な乗り味は昔ながらのファンには堪らない存在だったであろう。


 ソコから10年ほど時は流れ、NAの超高回転型エンジンは出力的にも環境的にも時代遅れの存在として(一部のスーパースポーツを除いて)淘汰されてゆき、上記のシビックTypeRもFD2型を最後にターボエンジンに切り替わってしまったのである。その10年の間、FFスポーツは何時の間にかニュル北で8分を切る程の高速化が進んでいき、ホンダもソレに乗っかかる形で大型化ハイパワー化を進めていき、ソレをワタクシがココでボロクソ扱き下ろしてきたのである(笑)果たしてソレが実際はどうなのか、動画や文章だけじゃ分からん事も多々あるので・・・

・・・ワタクシ自ら実際にステアリングを握って確かめてみようと思ったワケである(笑)今までこの新型シビックTypeR(以後FK8)を散々「古いファンやマニア向けの時代錯誤で後ろ向きなクルマ」「ガキとオッサンにしかウケない古臭い中二病デザイン」と扱き下ろしてきて、そのせいでSNSで少しばかりバズってたワタクシであるが(爆)流石に乗らずにあれこれ言う事に対しては少なからず後ろめたさを感じていたのである。だからこうして実際に乗って、ネットや雑誌じゃ分からんトコまで実体験してみようと思ったのである。自分で実際に乗った後ならば、コレからは胸を張って堂々とボロクソ扱き下ろせるようになるからである(核爆)


*乗り易さは正義

 先ずクルマに乗ったらワタクシが真っ先に評価するドラポジであるが、コレに関しては「可もなく不可もなく」と言ったトコである。一応スポーツドライビングに適したポジションにはなるけど、凄く良いって程じゃないって感じである点数で言うと、LC500が9点、BMW-M4が8.5点ゴルフGTIが8点、VABが6点としたら、このFK8は7点といった感じである。このまま4点固定を付ければ十分にサーキット走行はできるけど、やっぱシートが少し柔らか過ぎるのである。あと走り出してみて分かったのは、クラッチが扱い易いって事である、多分VABと同じように、電子スロットルの制御を上手く使ってエンストしないようになってるのであろう。圧着力が強いから上手く繋げないとドンってなるけど、ソレ以外は至って扱い易いクラッチなのである。


 あとエンジンの方であるが、分かりやすく言うと「スイスポエンジンのパワーアップ版」といったトコである。高回転にドカンと来るエモーショナルなエンジンではなく、低めの回転域から上までフラットにパワーが来る、何ちゅーか「結果的に速いエンジン」といった感じである。ワクワクはしないけど、こういうエンジンの方がスポーツドライビングじゃ扱い易いし、実際タイムも速いのである。あとビックリしたのは、何時の間にか乗り心地良くなってた足回りである。ニュル北は路面が荒くて滑り易いから、ガチガチのダンパーだと滑ってしまうのである。だからニュル北で速い系統のクルマは、スプリング固めダンパー柔らかめの足になるのである:

あと今時のクルマらしく、ダンパーも電子制御のが取り入れられていて、走るコースに合わせて「コンフォート」「スポーツ」「R+」のモードに切り替われるのである。R+に合わせるとダンパーが固くなるだけではなく、ダウンシフト時に自動的にエンジン回転数を上げてくれる(通称レブマッチング)機能が働くのだが、コレが実の秀逸なのである。Z34にも同じような機能があるが、スポーツドライビングにおける使い勝手の良さはFK8のが断然上である。コレならばサーキットでも安心して使えるし、寧ろこっちのが圧倒的に速いであろう。


 結論から言うと「FD2とは比べモンにならんぐらい乗り易くて速いクルマになった」といったトコである。外装がガキ臭くて中二病&内装が結構ショボいのがアレであるが(笑)コレだったらサーキット外でもフツーのクルマとして使えるからである。多分コレと競合するクルマは国産だとVABってトコだろうけど、どっち選ぶかと問われたら、ワタクシは「一長一短だから分からん」と答える次第である(^_^;)だからFK8かVABかで悩むロンマニアの方がいらっしゃったら、ワタクシは「最後は直感で決めろ」とアドバイスする次第である(爆)結局何だかんだ言って、クルマってのは最初にビビっときたヤツに乗るのが一番愛着が持てるし、結果として一番長く乗るのである。だから実の話、カタログスペックやコスパで決めるなんて無粋極まりないのである。


*曲がるアンダーステア

 さて、ココからは皆様お待ちかねの扱き下ろしタイムである(笑)先ずワタクシ的に何が一番気になったかって、全般的なアンダーステア傾向である。フツーに街乗りしてても交差点や曲がり角で結構ステアリングを切るし、車線内で軽く蛇行させてもサスが反応してもクルマが曲がっていかないのである。恐らくコレが速いFFスポーツにありがちな「曲がるアンダーステア」ってヤツだと思うのである:

ニュル北で速く走るには高速域での安定感が重要

ホイールベースを伸ばしてリア剛性を上げる事でソレを得ようとする

FFの場合、フロントヘビーとオーバーハングの関係もあり、アンダー傾向が更に強くなる

( ゚Д゚)マズー

ならばアンダーステア前提の上で、電子制御やLSDを用いる事で強引に曲げる

結果、FFでも速くなる

(゚д゚)ウマー

という事である。よーするにランエボのソレみたいに、アンダー状態から更にアクセルを開けていって、電子制御で曲げていくのが正しくて速い乗り方になるんじゃないかとワタクシは推測するのである:

分かり易く言うと、この動画にあるような乗り方である。アンダーだろうが何であろうが「とにかく速ければソレで良いッ!」って思うか、或いは「乗り方次第でアンダーもオーバーも素直に出るクルマこそが至高」と思うか、ソレは乗る人其々だから何とも言えないが、ワタクシ的には以前から言ってるように「速さが欲しいなら、態々FF車に乗る必要なんて無い」である。


 あともう一つ気になったのは、値段である。最早シビック(市民の)とは言えない価格帯になってしまったのと、あとこの価格帯でこの速さはどうなのかってのと、FFにソコまでの大金を出す価値があるのかとか色々あるが、コレが見積もりである:

因みにこのFK8の生産はイギリス工場だから、ニッポンに届くまで約半年かかるんだそうである。この価格で納車まで半年で、しかもあのデザイン。何ちゅーか、ガチのホンダファンじゃなきゃハンコ押せないシロモノである(笑)やっぱコレはNDみたいに「幅広く色んな人に乗ってもらいたいッ!クルマの楽しさを分かってもらいたいッ!」って感じのクルマじゃなくて、一部のマニアか熱烈なホンダファン向けのニッチな車種なんだなってのがワタクシの率直な感想である。さて、気が付いたらスッカリ遅くなってしまったので、もうお暇しようと思う今日この頃であった。