アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

1981

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「運命は我々に幸福も不幸も与えない。ただその素材と種子を提供するだけだ」

By ミシェル・ド・モンテーニュ


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*横の連携よりも大事な事

 発達障害持ちの生き辛さを抱えた人達は、横の連携を強めるべし。絶えず世間に理解を訴えかけて、一人でも多くの賛同者を得るべし。確かに戦いは質よりも量だから、その考え方はワタクシも否定はしないのである。が、ソレより重要な事があるとワタクシは思うのである。ソレは「発達障害を理解していない人や理解する気が無い人とも連携できる&理解し合えるようにする事」である。理由は簡単、何をどう考えたって発達当事者&関係者&理解者よりも、そうでない人達の方が圧倒的に数が多いからである。数が多いだけでなく、地位もカネも権力も殆ど向こう側にあるからである。だから実際に世の中を変えたいと思うんだったら、その”そうでない人々”と仲良くやってく必要があるのである。


 発達要害は昔と比べて随分と知られるようになってきたけど、問題はココにあるのである。まぁありがちな話なんだけど、同じ志の仲間だけで固まってしまって、世界がソコに限定されてしまうって事にあるのである。例えばLGBTなんかが市民権を得られたのは、ちゃんと”そうでない人々”の世界に生きているからである。そしてその中からティム・クックだとかフレディ・マーキュリーとかジョディ・フォスターみたいな”そうでない人々の世界”でトップを張れるような人間が多数出てきて、そうやって時間をかけて結果出し続けて少しずつ認められてきたのである。だからワタクシら発達障害持ちも、臆する事無く続々と社会に出てくるべきだとワタクシは繰り返し主張するのである。


*カミングアウトのススメ?

 ワタクシもその一人だけど、何らかの障害なり生き辛さなりを抱えた人間がブログをやり始める場合、多かれ少なかれ「私を理解してほしい」って目的で書くのである。でもってただ単に理解して欲しいではなく、その殆どが「私は私のままで、社会や他の人々の方から歩み寄ってほしい」なのである。コレってつまり遠回しに「私は悪くない、世の中や他のヤツ等が悪い」って言ってるようなモンであり、時間がかかったけどワタクシもその事に気付いて以来、一方的に理解を求めるような文章を書くのは止めたのである。その結果、当初の生き辛さや病気についての蘊蓄を中心に語るブログから、一転してサバゲーやらクルマやらゲームやらの下らない趣味に走ったブログになってしまったが、まぁご愛敬って事で(笑)



 人様のブログに文句を言うのは大変アレなのであるが、ワタクシが最初【28歳、顔出しで発達障害語るブロガーの真実】を読んだ時も、最初に浮かんだのが「あぁ、この人も一方的に理解を求めているんだな(´△`)」って何となく気付いてしまったのである。そう思う前に一瞬だけ「ワタクシも顔と名前と年齢出せば、ひょっとしたらひょっとするかもなんだ(*^○^*)」って思ってしまったのはココだけの話である(笑)ワタクシがそういうのを止めた理由の一つが「コレやると不幸合戦になるから」ってのがあるからである。何ちゅーか「私の方がもっと悲惨だ、だから他のヤツよりも私に同情しろ」っていうネガティブな競争に拍車がかかるなんてのは、何をどう考えたって不健全だからである。


 あともう一つの理由が「読者(つまり今コレ読んでるロンマニアの皆様)がコレ読んで何を感じるか」を真剣に考えた結果である。ワタクシが不幸話や恨み辛みをぶつけ過ぎて、ソレに影響されたロンマニアの方がネガティブな各種行動に移る。ワタクシはソレに対し「モニター前の読者が勝手にやった事であり、ワタクシは一切関係無い」と言い切れるほど人間出来ちゃいないのである。だからワタクシの書いた文章で湧き上がる気持ちは、ポジティブなソレでなくちゃいけないとワタクシは考えているのである。そう考えた途端、ネガティブな話をしたくなくなってしまったのである。まぁワタクシの走行会ネタや新車試乗ネタでポジティブな気持ちが湧き上がるかどうかと問われたら、ソレはまた別の話である(爆)


*内向きな界隈

 だが残念な事に、発達障害界隈はワタクシが目指す方向とは違う方向を向いてるっぽいのである( ̄〜 ̄)無論ワタクシが目指すような方向に歩んでる個人や団体もあって、ワタクシもその中の何人か&何団体かと交流を持っているのだが、いかんぜん少数派である(^_^;)やっぱ多くが上記ブログや各種メディアにあるように「不幸で可哀想な私達をもっと憐れんでくれッ!もっと恵んでくれッ!人間の心があるのならば分かってくれる筈だッ!」って方向にスクラム組んで進んでいってる、そんな雰囲気なのである。まぁニッポンにおいてこの界隈が出来たのがつい最近だから仕方ないとはいえ、上記のLGBTのソレだとか、外国だと黒人公民権運動だとか、そういうトコから学んでも良いんじゃないかと思うのである。



 コレは橋下徹が言った事であるが、交渉において相手を説得する方法は3つあるんだそうである。合法的に脅す、ひたすらお願いする、利益を与えるの3つであり、一番有効なのが最後の「利益を与える」なんだそうである。LGBTのソレが何だかんだ上手く行ってるのは、その利益を与えられる人を一般世間に送り込むことに成功してて、ソコから「ならアイツ等を仲間に入れよう」って積極的に受け止める流れが出来てるからじゃないかと思うのである。でもって発達障害のソレは、未だ前2つのやり方から脱却できずに今に至ってるのである。社会貢献できる当事者は社会に対して良いだけでなく、自分に対しても良い存在となる。ソレ故に「やっぱ当事者は可能な限り社会へ出るべし」の考えが変わらない事を再確認した今日この頃であった。