アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

THE GOOD, THE BAD & THE ARGYLE

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「歴史とは、ただ人類の犯罪、愚行、災難の記録にすぎない」

By エドワード・ギボン


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*歴史の不遡及性

 法の不遡及という言葉がある。よーするに「法律はソレが施行された日以前の出来事には適応されない」って意味である。だってソレやったら新しい法律が出来る度に過去はギリギリセーフだった人を一々しょっ引かなきゃならない&悪用すればシャレにならない事になるんだから、法律の知識が無くとも当然だと分かる筈である。ワタクシは歴史においてもこの不遡及が適応されるのではないかと思うのである。つまり、今の価値観で昔の出来事を断罪したり良し悪しを決めるのは違うんじゃないかと思うのである。歴史は良かったか悪かったか、正しいか間違ってたかではなく、単に「昔はこうだった」「昔の人はこういう考え方だったから、こういう事が起こった」って記録であり、ソレ以上でもソレ以下でもないのである。



 例えば古代ギリシャアリストテレスは「奴隷は必要。だってアイツ等バカなんだもん。バカが物事を考えるなんて時間のムダ。モノを考えるのは俺達アタマの良い賢者の仕事であって、奴隷はバカらしく肉体労働に精を出す。コレって合理的&理想的じゃね」って言ってたのだが、じゃあアリストテレスは差別主義者として断罪されるべきなのかって話である。ジョージ・ワシントンは黒人奴隷制推進派で原住民狩りをしてたし、ウィンストン・チャーチルはバリバリの人種差別主義者で帝国主義者だったけど、じゃあ彼等も断罪するべきなのかって話である。無論、答えは「ノー」である。その当時の価値観では問題無かったし、その当時の価値観では彼らはヒーローだった。たったソレだけの話であり、善悪の判断は不要なのである。


終戦73年目

 だからニッポンの歴史に関しても、ワタクシは同様の考え方を示す次第である。よく前の大戦についてサヨク連中が「大ニッポン帝国による植民地支配でアジアの人々ガー」って未だに大騒ぎしてるけど、あの時代(19世紀後半〜20世紀前半)は植民地支配がデフォだったのである。アメリカもイギリスもフランスもオランダもスペインも世界中至るトコに植民地を持っていて、世界は「植民地支配する国」と「植民地支配される国」に分かれていて、ニッポンはそんな中で開国して、獲るか獲られるかの世界情勢に巻き込まれたってだけの話である。でもってニッポンは獲る側に回って、ソコで少しばかりやり過ぎて欧米列強に睨まれて、最後はヘタこいてフルボッコにされた。後にも先にもたったそんだけの話である。


 こう書くと「人権ガー」「植民地支配ガー」「人種差別ガー」って言われるだろうと思うが、その3つとも本格的に台頭するようになったのは第二次世界大戦後である。つまり上記の歴史の不遡及性の概念からすれば適応外なのである。だからワタクシは大ニッポン帝国(及びニッポン陸軍とニッポン海軍)を良いとも悪いとも思ってないし、正しいとも間違ってるとも思ってないのである。ただ単に「昔はこうだった」ってだけの話であり、言い方は悪いが参考資料なのである:

確かに客観的に考えるとやった事は結果的に失敗だったし、ムダ死にで終わった人も少なくないであろうし、中にはやっちゃいけない事をやっちゃった人も居るであろう。が、彼等(彼女等)はニッポンの事や故郷の事や家族の事を必死で考えた上で、当時の価値観や当時の状況の中で(自らが考えうる)ベストを尽くしたのである。結果的にどうであれ、今の価値観的にはどうであれ、その気持ちや志までも否定してはいけないのである。


 何故否定してはいけないかって、ソレやったら将来自分自身も否定されるからである。確かに今は人権や民主主義や自治独立が全盛期であるが、じゃあ100年後は?200年後は?って話である。今の価値観が何百年後も同じかと問われたら、ワタクシはそう思わんのである。人間の価値観に絶対というモンは無く、国や民族や宗教や地域や家族、細かい事を言えば個人レベルで違うモンであり、更にソレはTPOによって多少なりと変わるモンなのである。だからどんなに気に入らなくても他人のソレは尊重しなきゃならないし、どんなに正しいと確信しててもテメェのソレを押し付けてはならないのである。ソレをやった時に起こるのが戦争だって事は、ワタクシが言うまでもなく歴史が証明してるのである。


*勝てば官軍、負ければ賊軍

 上記でワタクシは前の戦争は「良いとも悪いとも思ってないし、正しいとも間違ってるとも思ってない」と述べたのであるが、ソレでも思う事はあるのである。ソレは「戦争に負けてしまった」って事である。確かに善悪や正否は時代と共に変わるモンであるが、勝った負けたは古今東西変わらんからである。何時の時代も「勝てば官軍、負ければ賊軍」なのである。だからあの戦争で反省する事があるとしたら「何故勝てない戦争をしてしまったのか」って事である。今の時期にコレを言うのは超不謹慎だと分かっているのであるが、やっぱ戦争は勝ってナンボなのである。勝てば余計な事をゴチャゴチャ言われないで済むし、逆に負ければ要らん事までゴチャゴチャ言われてしまう。理不尽だけど、コレが戦いに負けるという事なのである。



 分かり易いのがアメリカのソレである。アメリカはニッポンに負けず劣らず植民地支配してたけど、ソレをあれこれ問われる事も無いし、旧植民地に対しニッポンが今に至るまで求められている謝罪なんぞ全然していないのである。ニッポンだけじゃなくアメリカも戦中は慰安所を設置してたけど、その事についてニッポンのソレみたいに叩かれた事もないのである。でもって原爆投下に関しても「ワイも落としとうなかったんやけど、戦争を手っ取り早く終わらすためやからしゃーない。所謂”必要悪”ってヤツやで」でお終いである。コレが戦争に勝つという事であり、故に戦争は勝つ見込みが無ければやってはいけないモンであり、ソコがニッポンの落ち度なのである。さてコレ以上語ると大炎上待ったナシなので(笑)撤収するに限る今日この頃であった。