アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

A NEW KIND OF HORROR

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「大事件も、すべてその起こりは大河の源のごとく、些細なことに起因する」

By ジョナサン・スウィフト


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*避けては通れないネタ

 まぁ何ちゅーか、一介のR35乗りとして、今ニッポンで一番ホットな男の話をしないではいられないのである(笑)その一番ホットな男が直轄プロジェクトの一つに水野和敏氏を抜擢して最高責任者としたからこそ、ワタクシの10年来の愛車となっているR35が誕生したのだから、ワタクシ的にはその某ホットな男には感謝しかないのである(爆)多分その男が居なければ日産はとっくの昔に潰れてたか、生き残っててもショボい車種しか生産してなくて、そうなったらワタクシは今頃ランエボ乗りになってただろう事が想像されるのである(核爆)だから逮捕されたと聞いた時には、そりゃこの上なくビックリした次第である(^_^;)

まぁ上記の水野和敏氏も「ゴーンは以前からワンマンだったけど、ソレでも最初の頃はルノー内にゴーンに意見できる人が居て暴走を止めていたけど、ゴーンがトップになって意見できる人が居なくなって、イエスマンで周りを固めるようになった」って言ってたから、やっぱ色んなトコで恨みを買っていた可能性は高いと思われるのである(^_^;)ワタクシは日産の中の人じゃないのでハッキリとは言えないが、やっぱクーデター的なモンも少なからずあるんじゃないかと思うのである。逮捕されるタイミングといい、日産のあまりにも早くて的確過ぎる対応といい、色々と準備周到過ぎるからである。


 フツーの人的には「あんだけ稼いでるのに、何故あんな悪い事を?」と思われるであろうが、逆である。あんな悪い事が出来るヤツだからこそ、稼げる地位に上り詰められるのである。キャリアの世界を知らないロンマニアの方はピンと来ないかも知れないが、何処の世界でも出世争いなんてこんなモンである。モタスポと同じで、間違えば大怪我必至の限界ギリギリまで攻め込む事の出来るヤツが、レギュレーションのグレーゾーンを上手に使い切れるヤツが、マシンを壊す手前までチューニングできるヤツが他よりも前へ出る事が出来るのである:

だからゴーンの今回のコレは、レースに例えると攻め込み過ぎて壁にぶつかってクラッシュしたとか、レギュレーションのグレーゾーンを超えて失格になっちゃったとか、チューニングを攻め込み過ぎてエンジンブローしたとか、その類のモンだと思ってるのである。悪いか悪くないかと問われたら間違いなく悪いんだけど、ソコまでするに至った過程までは否定できないって感じである。


*是に一票

 でもってワタクシは以前から言ってるように、カルロス・ゴーンが日産でやってきて良かったかどうかと問われたら、ワタクシの答えは「来て良かった」であり、ソレは今に至っても変わりないのである。SNSとか見てると「ゴーンが逮捕されたッ!コレで昔の日産に戻れるッ!」って書くヤツが少なくないが、とんでもない話である。ゴーンが来る前の日産なんて、ソレこそニッポン的企業の悪いトコを煮詰めて濃縮したような会社だったのであり、ソレがどんだけ酷かったかは水野和敏氏の著書にも書いてあるのでソコんトコは省略である。ソコまでどうしようもなくなってて二進も三進も行かなくなった日産を立て直したのがゴーンだったんだから、そりゃ「来てくれて良かった」以外の感想は無いのである。


 こう書くと「ゴーンがやった事は2万人リストラした事と、村山工場はじめ資産を売却した事と、車種を整理しただけ」って言うヤツが居るけど、たったソレだけなら何故今までのニッポン人役員がやらなかったんだって話である。口で言うだけなら誰でも出来るけど、行動するならば話は別なのである。あと上記にもある様に、ゴーンはGT-Rも復活させた&フェアレディZも残してくれたんだから、コレを感謝しないでどうするんだって話である。他のニッポン人シャッチョの他メーカーは、何処も彼処も景気が悪くなった途端にスポーツ車種を切り捨てた事実を忘れないで欲しいのである:

SNSとか見てると「ゴーンが来た後、日産から面白いクルマが無くなった」ってのがあるけど、ゴーンが来なかったら日産そのものが無くなってたんだから、どっちが良いんだって話である。会社が残ってて規模を保ってられたら復活の可能性は僅かながらでも残るのであるが、会社が無くなったら完全にゼロになるのである。


 あとSNSの反応でもっと面白かったのは「昔を取り戻した日産がスカイラインGT-Rを復活させる」「日産の手を離れた三菱がランエボXIを作る」なんてのがあったのであるが、ハッキリ言って日産が昔に戻る以上にあり得ない話である( ̄〜 ̄)世界中のメーカーが脱内燃機関と自動化に向けて莫大なリソースを割いてる中、何が悲しゅうてガソリンエンジンのMTスポーツなんかを作らなきゃならんのだって話である┐(´д`)┌80年代〜90年代の日産車が良かったのって、ぶっちゃけバブル経済の影響なのである。高いクルマがバカスカ売れる状況だったからこそ、あんなオーバースペックなクルマがあんな安い値段で売れたのである。今の時代にソレを再現するのは、ニッポン領土内に史上最大級の超巨大油田でも見つからん限り不可能である。


*余所者へのアンビバレンツ

 でもこのニュースがココまで大きくなった背景には、やっぱニッポン人ならではの複雑な感情が少なくないと思うのである。外国からやってきて、ニッポン流ではないやり方で強引に何もかにも変えていって、その上従来のニッポン人シャッチョにはあり得ない程の超高額な報酬を手にしている。例えソレが妥当な報酬であっても、そうする以外の改革法が無かったとしても、ニッポン人としては納得いかない。そういう複雑な感情が、この事件に関して否が応にも感じられるのである。特にニッポンのクルマ産業は今までずっと上手くやってきた&同格のメーカーであるトヨタやホンダは今でもニッポン人シャッチョによるニッポン的経営で上手くやってる事を考えると、やっぱニッポン人としては尚更受け入れ難かったのだと思うのである。


 まぁコレはニッポンだけでなく韓国とか中国とかその他アジアとかもなんだけど、やっぱアジア人はタイを除いて欧米の植民地だったり傀儡政権だったりした歴史が少なからずあるから、欧米に対する劣等感と反骨精神が同居してるトコがあるのである。そういうトコが何かのキッカケで大成功を掴むと「我々は劣ってなんかいないんだッ!アイツ等と同等なんだッ!自分達のやり方を貫いて良いんだッ!」ってなって、自分達のやり方を過信するようになるのである。バブルが崩壊するまでのニッポン然り、今の中国然りである:


だから日産が上手く行かなくなった事と、ソレを事もあろうにフランス人に助けられたって事が、ダブルでニッポン人のプライドを傷つけているのである。だから「コレを機会にルノーと手を切って、以前の純ニッポン企業だった日産に戻って、今度こそ上手くやれるはずッ!」って幻想を抱く人が少なくないんじゃないかと思うのである。でも残念な事に、覆水盆に返らずってヤツである。もうあの時代は戻ってこないし、グローバル時代になった今ではニッポン流に拘るだけじゃやってけないのである。自分を昔に戻す事は出来ても、周囲まで昔に戻す事は出来ない。改めてそう思う今日この頃であった。