アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

ORGANIC HALLUCINOSIS

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「少数派の抵抗運動は、これから多数派になる視点を象徴的に先取りする。いのちや生活において、頂点同調主義ほど無力なものはない」
By 久野収

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*自立こそ全て
 毎年この時期の新入学新入社シーズンになると、思う事が一つだけあるのである。ソレは「成人の発達障害当事者は自立してナンボ」って事である。基本的に現代社会において人間ってのは、自立して社会の役に立って初めて言葉に説得力が生まれるのである。そして社会での役割が大きければ大きいほど、言葉の説得力が比例して大きくなるのである。だから発達当事者として世の中にモノ申したいのであれば、言葉に説得力のある人間になる事が重要なのであり、その第一歩が自立なのである。古今東西、世の中は言葉の正しさで動いた事はないのである。歴史を動かしてきたのは、何時だって説得力のある言葉である。


発達障害のある人の社会参加と就労 ~ 社会人へつなげていくためのライフスキル ~

 何だか某所では「発達障害は治る派vs治らない派」の不毛な言い争いが繰り広げられてるっぽいが、ワタクシに言わせればナンセンス極まりないのである。何故ならば、一番重要なのは「発達当事者が自立できるのか否か」であり、治すか治さないかはその為の手段でしかないからである。極端な事を言えば、発達障害の各種不便が薬物無しに解決したニートよりも、病院通い薬漬けで二次障害まみれでも仕事シッカリこなせる公務員のが偉いのである(笑)だから「実際治った」「治るエビデンスは無い」で争うよりも、その目的と結果で争えば良いのである。たとえ誰が何と言おうとも、世の中ってのは古今東西、結果出してきたヤツが動かしているのである。

*少数派の一存
 ただまぁ、発達障害に限った話ではないが、少数派云々の運動ってソコが難しいのである。つーのもこの手の少数派当事者ってのはソレであるが故に過去に苛められたり疎外されたり、社会的に隅に追いやられたり迫害されたりといったトコが少なからずあり、ソレ故に恨みだとか嫉妬だとかルサンチマンだとか、そういったネガティブな感情に多少なりと囚われてしまうのである。ソレを乗り越えるなり折り合いをつけるなりして健常者社会と上手くやってくのが理想なのであるが、でも現実は怨嗟や嫉妬やルサンチマンを煽りに煽って数を募って、マスコミ等を味方につけた上で勢いに任せて押し通した方が楽に要望を通せるから、そうしてしまう当事者や支援者が少なくないのである。

 この4コママンガで何故途中参加の子が突然キレてレッテル張りを始めるのかって、つまりそういう事である。この手の少数派やサヨク運動をするヤツには「自分達は差別されてるッ!虐げられてるッ!除け者にされてるッ!」って思いがあって、そしてソコから「だから健常者や多数派はその埋め合わせをするために私達を優遇すべきッ!ソレが人として正しい在り方ッ!」って考え方に至り、少しでも異論反論を述べようとすると「やっぱりお前等も敵だったんだッ!」って過剰反応して「やられる前にやっちまえッ!」って事で先に相手を悪者認定して”戦い”を有利に進めようとするのである。


【哲学】弱者が強者を悪者に仕立てる心理【ルサンチマン(逆恨み)】

 この方法が良いかと問われたら、当然だけどノーである。何故かと言えば、上記4コママンガで他の3人が何も悪い事してないのと同様に、被害者が受けた加害を加害者でない人間に対してまで責任をおっ被せようとしてるからである。当然だけど、加害者でない人間からすれば、加害者と同じ属性だという事だけで埋め合わせをやらされるなんて納得できないに決まってるのである。加害者を止めなかったから同罪?言っちゃ悪いが、ソレはテロリストの言い分と全く同じである。人を裁いて罰を与えて良いのは、法治国家においては法務関係者だけであり、たとえソコに大義があろうとも、個人が個人を一方的に罰する事は認められないのである。

*リセットのススメ
 こういう事がエスカレートすればどうなるかって、でっかい精神的な隔たりが出来てしまうのである。法律上の厄介毎に巻き込まれないガイドラインが作成されて、厄介毎に巻き込まれないように必要最低限しか相手されなくなって、形式上だけの社会的地位が出来上がるのである。そうすると次はどうなるかって、形式上に現れないのであれば、内心的な差別の意思を探し出すのである。こういう言動には差別の意思があるだとか、こういう表現は差別がある故に行われるだとか、そんな感じに差別を強引に可視化しようとするのである。そして新たなガイドラインが生まれて、隔たりが更に大きくなって、あとはその悪循環である。


Mulan's Li Shang is removed because of #MeToo movement

 じゃあどうすればいいかって、リセットするしかないのである。被害者側は昔に起こった加害云々に関する埋め合わせは求めず、加害者側はそういった事があった事を理解した上で今後再発しない事を約束して、新しく一から関係を作り直すのである。被害者側少数派側からすれば不満だろうけど、隔たりの無い関係性を築こうと思ったら、妥協はある程度必要なのである。でもって世の中のカネや力の大半が多数派側加害者側にあると考えると、ワタクシは妥協は必要だと思うのである。世知辛い話だけど古今東西、世の中が正義だけで動いた事はないのである。正義無き力は暴力なり、力なき正義は無力なり。理想は現実の先にあるモンだと改めて思う今日この頃であった。

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