アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

DANCE WITH ME

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「ヨーロッパは神の、あるいはキリスト教の精神を代表しておらず、むしろサタンの精神を表しているというのが私の堅い信念である。そしてサタンの成功が最大のものとなるのは、その口に神の名をのせて現れるときである」

By マハトマ・ガンジー


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*スポンサーと電気自動車

 モータースポーツ属性のあるロンマニアの方なら既にご存じかと思われるが、残念ながら今年のF1にゃ小林可夢偉の姿は無い(´・ω・`)こうなると今まで可夢偉で辛うじて繋がっていたニッポン人とF1の接点が無くなってしまうため、モータースポーツの存在感が益々薄れてしまうんじゃないかなというのがワタクシの心配点である。前居たザウバーのシャッチョ曰く【ニッポン企業が可夢偉を支援しないのは驚き】という事であるが、一理あるようで一理ないっちゅーのがワタクシの感想である(笑)リオネル・メッシはスポンサーがついていたからバルセロナに入団できたのか?ウサイン・ボルトは大金払ってジャマイカ代表の座に就いたのか?タイガー・ウッズはマスターズ等メジャー大会の出場権をカネで買ったのか?当然だけど、答えは全部「ノー」である。でもモータースポーツはその逆で、結果を出す前からスポンサーが必要になる。だから自ずとカネとコネがモノを言う世界になっちゃうワケである。


 だからワタクシは【容量3倍、充電時間10分のリチウムイオン電池、2016年までに登場か】という記事には結構期待していたりするのである。電気自動車(以後EV)の最大にして唯一のネックがバッテリーだからである。逆に言えば、バッテリーさえ何とかなれば、EVの時代待ったナシだからである。何故かと言えば、内燃機関よりもモーターの方が遥かにパワーがあって、制御が簡単で、作るのも簡単で、比べモンにならないぐらいエコで、しかも安いからである。つまりEVの時代が来れば、クルマは大幅に安くなる可能性大って事なのである。クルマが安くなれば購入する人も当然増えるし、購入する人が増えればモータースポーツをやる人も増える。もしもカートレベルまでEV化が進んだら、ソレは更に良い事である。カートが安くなればモータースポーツの敷居が更に低くなり、挑戦する人も増えて繁栄するだけでなく、競争激化でレベルも大幅に上がるからである。この数々のメリットに比べれば、反対派の「エンジンの音色と振動が云々」ってのはスルーしておkである(笑)


*ニッポン式ドライビングvsヨーロッパ式ドライビング

 でもまぁ、その時代が来る頃にワタクシも既にジジイなので、F1に挑戦するには年を取り過ぎてるであろう(笑)あと10〜20年はガソリンエンジンがレースの主役だろうから、ソレまでは従来通りやるまでである。さて、ワタクシの現段階における最大の関心事と言えば、サブタイにもあるように、ニッポン式ドライビングとヨーロッパ式ドライビングについての研究考察である。というのも、今現在ワタクシはヨーロッパ式へのドライビングスタイル変更を図っているからである。まずはニッポン式ドライビングであるが、コレはニッポンのありとあらゆるメディアが「ドライビングの基本」としてるソレである:

つまりフルブレーキからブレーキを残す、所謂「曲げるブレーキング」である。荷重を前に移動させて、ソコを支点にして荷重を失ったリアをコマ回しの様に回して曲げる方法である。利点はブレーキングを短く出来る事と、素早く立ち上がる事が出来るという事である。欠点はフロントタイヤを酷使する事と、コーナリングに際して前輪が過荷重&後輪が抜ける→不安定になってしまう事である。ニッポンでこのドライビングが発達したのは、ニッポンのサーキットは良く整備されてて路面μが高い&ニッポン製タイヤが優れてるため、上記の「コーナリング中のタイヤ荷重の不均一で不安定になる」って部分がカバーできるからである。でもって、ヨーロッパ式ドライビングがコレである:

ココ最近のワタクシが追求してる「4輪をフルに使ったブレーキング&コーナリング」って、実はコレだったっぽいのである。タイヤグリップは4輪が均等に接地してる時が一番高い→つまりその状態が一番速くコーナリングできるんだから、そういう運転にしてしまえって話である。利点はコーナリングスピードを高く出来るという事と、4輪を使ってコーナリングするから姿勢が安定するという事。欠点はブレーキングが長くなってしまう事と、小さいコーナーじゃコーナリング速度を稼げない事である。ヨーロッパのサーキットは路面μが低め&ヨーロッパ製タイヤは信頼性がやや劣るから、コーナリング時の安定を得るために4輪をフル活用する必要に迫られてこうなったとの事である。


 ワタクシがヨーロッパ式を選んだ理由は3つある。1つめは「安定感が第一」という事である。ワタクシはとにかく運動神経が鈍いので(笑)崩れてから立て直すなんて至難の業である。だから安定したドライビングが望ましく、その点はヨーロッパ式が有利だからである。特にウェットはワタクシにとって鬼門中の鬼門なんで(爆)このスタイルを身に付ける必要性は高いのである。2つめは「何だかんだでヨーロッパ式の方が結果を出してるから」である。安定感が高いから事故ったりする確率が下がるのもそうだけど、4輪を均等に使う→負担を均等に分散させるという事は、結果的にクルマを労わる事に繋がるからである。今のクルマも前のクルマも、ニッポン式ドライビングに拘り過ぎ&ワタクシのドラテクのダメさも手伝って(核爆)前輪ばかり変な負担をかけて壊してた記憶しかないからである(^_^;)故にヨーロッパ式なのである。


*続・前荷重って何ですか?

 そして3つめは「R35はヨーロッパ式ドライビングで最高のパフォーマンスが出るように作られている」という事である。色んなオーナーの話を聞くと「フロントのブレーキがすぐダメになる」って意見が結構多かったりする&ワタクシも結構痛めてたのであるが、今考えるとニッポン式ドライビングで曲げようとしていた→結果として前荷重が過剰になったからなんじゃないかというのがワタクシの推測である。というのも昔、Sオーナーがこう言っていたからである・・・

          |: : : : :.| : : : | : : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : : : : : : |        後輪が使えているかどうかをどう判断するか?
           |: : : : : l.: : : :|: ! : : |: : : : : : : :|: : :|: : :/: : : : : : : :|        クルマの姿勢、これで分かる。
           |: : : : : : : : __|厶: : |_:|: : : : : 厶: /: _/_: /.: : : : : :|        静止状態と同じなら、後輪にも荷重が掛かってる
          |.:.: : : :.:∨\|Vヘ: :|:∧: : : :/j/|: :/|: /∨.: : : : :|        
.           |: : : \:.:IV〒孑汀 ハ: :./ 汀戈〒ヾ/: : : /: :,′       まずはロック直前までフルブレーキ
            lハ.: : : :\:ト 辷ヒzi ヽ∨r'  ヒz辷! 彳 : : /: :/         その後、ブレーキを少しづつ抜いていく
              丶: : : : :ヽ、___ ノ ⌒ヽ、___ /: : : /: :/         そうすれば前に乗っかってた荷重が後ろへ行く
           _  \ : : : ゝ ̄ ̄  '    ̄ ̄/: : : /j∨          姿勢を戻したら、そこから更に調節していく
          /:::`ーくヘ: : : :> _   -    _ <: : : /:::::::ヽヘ、       
     _ノ三三ニ≡=- \ :.{ \> _, </ /_j/-=≡ニ三三\_    知ってるとは思うけど、R35は基本的にFR
     F¬≠=≡三三ニ≡= ミ`ヽ、 \_.  _/ /  -‐= ニ三三三ニ≠¬|   エンジンブレーキをフル活用するためには
     |l        ̄¨¨ ¬ー-、ヾ\V⌒V/_,, -―¬ ¨¨ ̄      l|   後輪への荷重が重要になる
     |l              {{ ̄ ̄ ̄ ̄}}                  l|
.    /|l                   } |      | {                 l|   ブレーキングは踏力じゃない
.    l |l                   | |      | |                  l|ヽ  タイヤのグリップを最大限使えるかが勝負






        ____    ━┓
      /      \   ┏┛   分かったような分からないような・・・・
     /  \   ,_\.  ・     そうすると、一つ大きな疑問が浮かんでくるお
   /    (●)゛ (●) \
   |  ∪   (__人__)    |      その方法で行くと、荷重が真ん中に戻ってしまうお
   /     ∩ノ ⊃  /       折角ブレーキングで曲がるための前荷重を前輪に掛けたのに
   (  \ / _ノ |  |         ソレが無くなってしまうお
   .\ “  /__|  |         その点はどーすれば良いのか分からなくなってきたお・・・
     \ /___ /






                 _,,. -‐ '' ー ‐- 、.,_
              _,.イ~           `ー、        前々からずっと思っていたのだけど
             /                   \       その「前荷重」って一体何?
            /                   \
.             /                        ヽ    前輪に荷重を掛けて、その力で曲がる?
.          /      !     |  |   |        'i,    カート、フォーミュラ、Cカー、プロト、ハコ車
          |       |ヘ     :|  |__ム、_/  i     |    長年いろんなクルマでレースやってきた私だけど
            {    ヽ |_ハ    :ノて~レ' レ'   :/      !    そんな事を意識した事は一度も無い
           | 人  ''て丁ヽ :/ ,-=テ云示`ヽ/ / .. :: : }
         |  \ ,ィテ示 ∨    辷 少 | / /  :: :: ::/    どんなに荷重を掛けたって、前輪が受け持てる
         ∨ \〈 K_;ソ r-‐く、  ~  _,イ / :: :: /     グリップの限界が上がるわけじゃない
          ヽ \ \  _ノ、   `ー─''"/// :: ::∨      グリップの限界を超えてしまったら、当然だけど
            ヘヽ < ̄         / ,.イj :: //        コーナリング能力が落ちる
             \, 〉、   ー       //  :/|/
               ∨> 、.      ,.イ |  ::/ /        そういう「前荷重」を掛けたコーナリングをしてるから
                 ヽ__>‐ '" _,,.ィ<ー‐ゝ、        ステアリングを必要以上に切る事になってしまう
                /:::/`T ̄ _,. <:::: ::: ::::ヘ         原因はスリップアングルが大きすぎるから
            _,.イ⌒:::: ://^ヽ /:::: ::: :: :: :: '":: ヘ
           /::: ::: :: : 〃   /::: ::: ::,,/::: :: :: :: :: ヘ      あともう一つ、ステアリング操作は基本的に抵抗
          /:::〈: : :: :: :: :| /::: ,,,;:: ::: ::: :: :: :::: ::: :::: :::\     ステアリングを切れば切るほど抵抗が増える
            /:: ::: \:: ::: :: |/::: /::: :: : : ::: ::: :: :::: ::: _,,,.:: :: 〉     だから立ち上がりも遅くなる







        ____
      /  ノ  ヽ\     
     /  (○)}liil{(○)   え”?そんなこと初めて聞いたお・・・・・
   /     (__人__) ヽ    まさか前荷重そのものが否定されるなんて、夢にも思っていなかったお
   |       |!!il|l|   |   
   \        lェェェl /   というと、巷で流れている「前に荷重を掛けて」だとか「タイヤをつぶして」とか
    /         ヽ    ソレって一体何なんだって話になるお
    しヽ        ト、ノ    
      |    __    |    ・・・そ、そうなると、コーナリングってどうやるのかお??
      !___ノ´  ヽ__丿







                           ---  _
                        ´          `  、      先程言った「タイヤのグリップを最大限使う」が答え
                   /                 \     何故ならブレーキングもコーナリングも
                     /                      ヽ    全てはタイヤのグリップで決まるから
                    /                           ',    
                /                            ',   どんなクルマでもそうだけど、タイヤグリップは
              l                           l   クルマが静止状態の重心位置において
                  l                      l        |   最大の力を発揮するように作られている
                  |       \    ヽ      /i  /  |. |   だったら、その状態で止めたり曲げたりするのが
                  |      \  |\   |ヘ    / |  /  /  l   一番効率的なのは明白
                 |.      ー‐|--\__|_ ヽ  /_,, |-/|´./ ト l
               ヘ   \   `⊥---.,-|、 ヽ /.セニTア| /  /.リ   でもクルマは常に動く、これが問題になる
              ,,ゝ--t  \ ヽ込zク   n ' nLzク. ,リ.  /    止まったり曲がったりするから、重心がずれる
         ,,, -..... ̄:::::::::::::::\  \ゝ ̄   ノ, ̄ 、___/ノ. /    重心がずれれば、当然タイヤグリップは落ちる
       /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\  l`===´  '   / ∧ /
     /::::::::::::::::::;;....-...一'´` ー 、\|ヽ、    -  .イ / ソ    ドライビングテクニックとは、ありとあらゆる状況で
    /:::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::\:::::::ト .   .ィ´/|.} ./      この重心のずれを戻す一連の技術のこと
    ヽ::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`Y`l::::::| /、.リ|/      それがクルマを速く効率的に動かす最適解
     ヽ:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_;;;-‐''´`ヽ:::}^ヽ:::/::::::)       
      >':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/      \::::/::::::/l        口で言うのは簡単だけど、これはドライバー各々が
     /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ,,, ---―――`---<:::::::ヽ        自身の感覚として身に付けなければ理解できない
     /::::::::::::::::::::::::::::::::::/          _ ,,⊥;;__::::}   , へ,
    ./:::::::::::::::::::::::::::::::::/、                 `ヽ, /=ヽ ヽ,、   まずはこの感覚を理解することから始めて
   /:::::::::::::::::::::::::::::::::/  ``ヽ、                ヽ  ヽヽ. ,、l   それはサーキットに行かなくても身に付く
  ./:::::::::::::::::::::::::::::::::/      `>、                     |. |<ン   身に付いたら、その先を教えてあげるから
  /:::::::::::::::::::::::::::::::::::i      /   `ヽ、             レ'

そう、この時のワタクシは「コーナリング=ニッポン式ドライビング」を前提にしていたのに対し、Sオーナーは「コーナリング=ヨーロッパ式ドライビング」を前提にしていたのである。だから会話がちぐはぐになるのである。数多くの欧米のレースに出場してきた&毎年のようにニュル北走ってるSオーナーだから、自ずとヨーロッパ式ドライビングが身に付いてしまってるのである。でもって開発ドライバーがヨーロッパ式なんだから、R35のセッティングやチューニングもソレに合わせて設定されてるって考えるのが当然である。


 だからワタクシはヨーロッパ式を身に付けようと思い立ったワケである。自分のスタイルに合わせてチューニングすればいいじゃないかって?もしもワタクシがシューマッハアロンソベッテルぐらいの腕前があるのなら間違いなくそうするが、残念ながらワタクシは彼らのヘルメットに付着したタイヤカス程の価値も無いヘタレアマチュアドライバーである(笑)ヘタなドライバーに合わせてチューニングしたら確かに速くなるだろうけど、ソレはドラテクが上手くなったという事ではないからである。クルマを乗り換えれば、恐らく簡単にボロが出る事は想像に難くないからである。ワタクシは「運転が上手くなりたい」のであり、速さやサーキットでのタイムってのは「運転が上手くなった副産物」に過ぎないのである。やっぱ何だかんだ言って、理論は経験を伴わないと決して有効活用できない事を改めて思い知った今日この頃であった。