アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

OUTCAST

 またまた"師匠"とのサバゲーぶらり旅。いくら話が尽きないとは言っても、いつも楽しい話ではない。考えさせられることも山ほどある。その中で一番頭を悩ませることが一つある。ワタクシのチームの今後である。ハッキリ言って、チームとの機能はもはや果たしていない。それは予め予想しており、それならばサバゲー好きの共同体として機能させればいいと思ったが、今となってはそれすら機能していない。

 そもそも隊長が隊長としての任務を全うしていない。皆を纏める事もしない、HPの管理もしない、HPに書き込まれた他チームからの書き込みにも全く返事をよこさない、ゲームメーキングもしないゲームに誘っても「金がない」を理由に参加しない。では忙しいのかと言ったらそうではない、バリバリのNEETニート)である。一日中家に籠ってオンライン海戦ゲームに熱中しているか、外へ出てもガンダムの対戦ばかり。「コンピューター関係の仕事がしたい」と口だけは一丁前だが、それの勉強も全くしていないし、そもそも働こうという気が全くない。

 今の日本社会の弊害をモロに体現しているとしか言い様が無い。家に閉じこもって友達は皆パソコンやアーケードゲーム筐体やケータイのモニター越し。生身の人間のぶつかり合いを知らないから、そこから生まれるマナーや社会常識も知らないし、気に入らない人がいればただ着信拒否したり回線を切ったりリセットすれば良いだけと思っている。しかも悪いことに今の日本の社会制度の中では、そんな穀潰しでも生きていける。つまり高望みしなければ死にはしないし、そこそこの生活は出来る。ウチの隊長は今、そのぬるま湯に骨の髄まで浸かって、そこから出て来ようとしない。

 そんな彼だが、ワタクシは弟のように愛着を持っていた。ワタクシがサバゲー始めた時以来の友人だし趣味もピッタリ合う。今のチームを立ち上げた時も共に頑張ってきた仲である。そんな背景があるからこそ、彼にはそのぬるま湯から出てきて欲しい。そして辛い事もいっぱいあるが、それ以上に楽しいこともいっぱいある本当の意味での"世界"に彼を連れ出したい。そう思って見守っていたが、この前の"師匠"との話し合いで心を決めた。今暫くワタクシは沈黙し様子を見て、彼がどう動くのかを見てみることにする。そして彼と話し合い白黒ハッキリつける。もし彼がサバゲーよりも海戦ゲームやガンダムを選ぶのであれば、ワタクシはチームを抜ける。それがワタクシなりのケジメのつけ方である。せっかく苦心して作ったチームが腐ってゆくのを見るのは耐えられない。ワタクシの脱隊でチームが崩壊するのであれば、それは運命である。

 やっぱり人間は他の人間と向かい合わないと生きていけない。向かい合う相手が常に好きな相手とは限らないが、実世界ではリセットも着信拒否も回線切断も出来ない。絶えず向かい合って生きるしかないのである。嫌な人間に会うかもしれない、他人に傷つけられるかもしれない。でも"師匠"のような素晴らしい人間にも会えるし、そこから得られるものは、到底インターネットでは得られない。某IT関連会社社長の「世の中インターネットがあれば全て得られる」なんて言うのは全くウソである。人間、互いの目を直接見て、口から直接耳に直接語らなくては伝わらない事がまだまだ沢山ある。こうしてチームとの一大決断を前にしながら引越しもやらなきゃいけない今日この頃であった。