アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

THE HERETICS

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「”地味なものは高価なものよりも美しくなりうる”というひそかな知識がないと、決して洗練されたセンスを身につけることはできない」
By アンドレ・プットマン

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。

*高級vs高額
 高級品とは何か。価格が高い商品の事?ワタクシの答えは「高級品を愛用する人々(カネ持ち、マニア等)向けに高級品を作るメーカーが作った商品」である。そう、この場合、価格は関係無いのである。クルマで言うと【メルセデスベンツAMG・A35】がソレである。典型的な下駄クルマのレイアウトをしていて、値段も”そんなに”高くはないが、でもれっきとした高級車なのである:
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素だけどAクラス乗った事あるから分かるのであるが、このクルマは高級車を専門に扱うベンツが顧客である高級車乗りの為の下駄クルマとして作ったのだから、安いけどちゃんと高級車してるのである。一般庶民からしてみれば「ムダに高いのにスペックがショボい」であるが、カネ持ちやクルマ好きからしてみれば「こういうので良いんだよ、こういうので」になるのである。

 逆を言えば、そういう顧客向けにそうでないメーカーが作ったモンは、たとえ高額でも高級車ではないのである。簡単に言うならば「高額車」ってトコであろう。クルマで言うと【トヨタ・アルファード】が正にソレである。高級車を普段から乗ってる人向けに作ってない→そういう人等のニーズを満たせないから、カネ持ちやマニアは買わんのである:
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トヨタは大衆車メーカーだから、何をどーやっても「最大公約数の顧客獲得による最大公約数の利益追求」が主題になってしまうのである。その結果、万遍無く広く浅くなってしまい、特定の深みを愛する層からは敬遠されてしまうのである。単なる道具として割り切るなら良いのであるが、道具として割り切るのに価格が高かったりすると買う気が失せるのである。

*寿司で分かる高級ブランド
 以前から何回も言ってる事であるが、ニッポンは欧米のような階級社会じゃないため、欧米的な「階級毎に行く店も食うメシも乗るクルマも違う」ってのが理解し難いのである。だからクルマに関しても「価格が500諭吉以上なら高級車」っていう雑な分類しか出来ない場合が殆どである。だからワタクシは「高級車と大衆車は、例えるなら回らない寿司と回る寿司の違い」と説明するのである(笑)よーするに客層が抑々違うから、客が寿司屋に求めるモンが違うし、提供される寿司の基本思想が違うし、寿司職人と客の関係性も違うのである。

 回らない寿司は言うまでもないと思うが、利用する客はコスパなんか考えちゃいないのである。顧客は職人の腕やセンスを評価対象にしていて、出される寿司もコスパではなく品質が重視されていて、顧客は職人とコミュニケーションしながら寿司を楽しむのである。そう、こういうトコに来る客にとって、寿司は単なる「空腹を満たす手段」ではないのである:
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こういう店に行くと「店がテメェを一人の人間として見てくれる」って満足感があるのである。店や客同士と寿司を通じたコミュニケーションで交友を深め、職人技などから色々学び、単なる「美味しい寿司」以上のモンを得るのである。クルマも同様で、高級車を求めるオーナーは単なる「良いクルマ」以外のモンを求めてるのである。

 回る寿司はその逆で、何より大事なのは「寿司のコスパ」である。兎に角「安く、色々選べて、手軽に食える」が重要で、その為の徹底した合理化が成されてるのである。客は「安く美味く寿司が食えればいい」だけが目的であり、店も「可能な限り客を回して稼ぐ」が目的だから、ある意味利害が一致してると言えるのである。そう、回らない寿司に行く客とは目的が全然違うのである:
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ただワタクシは「回らない寿司は正義」「回る寿司は悪」とかいうつもりは毛頭無いのである。回る寿司の「行きたい時に気軽に行けて、安く手頃に寿司で腹一杯になれる」ってのは、回らない寿司には無い回る寿司の大きな利点なのである。よーするに、こういうのは適材適所なのである。

*ナントカを追う者は一兎をも得ず
 何故ニッポン車の高級車戦略が上手く行かないかって、売る方がソコんトコ良く分かってないからである。一山当てただけの成り上がりと、昔ながらの良家の子女。総資産が同じだとしても、この2者には月とスッポンほどの違いがあるのである。当然だけど、各々がモノに求めてるモンも全然違うのである。でもニッポンにはそういう階級社会が無かったから、売る側も双方を「カネ持ち」と一緒くたにしてしまいがちなのである。だからニッポンやアジア諸国ではウケても、クルマのメジャーリーグである欧州じゃ全然ウケずに、結果ブランド価値が上がらないのである。

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 だからR35や新型NSXが上手く行かなくなった理由ってのは、つまりそういう事だと思うのである。R35やNSXレベルのクルマを売ってるトコならフツーは得られる諸々が、国産車ディーラーじゃ得られないからである。スポーツカーという利便性とは程遠いクルマ、しかも1000諭吉越えのソレを敢えて買おうとする人間は、その時点でクルマに対し並ならぬ情熱を抱いてるのであるが、メーカーがその情熱に応えられないのである。だから最後は「じゃあフェラーリランボルギーニかポルシェ行くわ」になり、ワタクシもそうした次第である(´・ω・`)高級と高額は全く別、大事な事なので二度言った今日この頃であった。