アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

L'ORDURE A L'ETAT PUR

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「どんなビジネスに携わる人も、自分のビジネスに最も適した顧客を選び、そうでない顧客を避けた方がいい」
By ダン・ケネディ

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。

*国産スポーツカーがこの先生きのこるには
 国産スポーツカーの販売戦略における一番の問題は何か。景気?速さ?答えは「売る相手を間違えてる」である。国産スポーツカーはバブル期の頃の「若者やエネルギッシュな中年が乗るモン」ってイメージが余りにも強くこびり付いていて、未だそのイメージから脱却できないでいるのである。50~60年代のアメリカもそうだったが、バブル期のニッポンの若者がスポーツカー乗りまくれたのは、あの時代が特殊な時代だったからである。その時代が終われば当然だけど、スポーツカーは本来の「余裕のあるカネ持ちか、或いはエンスージアスト(以後エンスー)が買うシロモノ」に戻っていったのである。

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 そうなったら当然だけど、売り方も売る相手も変わってくるのである。何故あの時代のスポーツカーのチューニングが盛んだったかって、ノーマルがショボかったからである。何故ノーマルがショボいって、国産メーカーの開発力が不足してたのもだけど、やはり「外車とは違って国産車は安く買うモン」っていう当時の価値観があって、更には売る相手が若者→本体が高過ぎると買えないって事から、コストや価格を抑えるため敢えて妥協した作りになってたのである。でもって売る相手が変わった今、このやり方を続けてたら「こんなショボい安モン(゚⊿゚)イラネ」になってしまうのである。

*客の選び方
 じゃあ具体的にどうするかって、ワタクシの提案は「メーカーのワークスブランド(TRD、NISMO、無限、STIラリーアート等)を活用する」である。え”?昔から活用してる?そういう従来の使い方じゃなくて、ベンツのAMGBMWのMみたいに「スゲェ良いモンを高い価格で売る」のである。その為に重要なのは何かって、売る相手を選ぶことである。例えば顧客が「役物を買いたいッ!」って言ってきたら、下記条件で振り分けるのである:

  • その客の○○(メーカー名)車の累計購入台数
  • その顧客が他メーカーの車種、特に役物車種の所有歴
  • 今までの自社××(ワークスブランド名)車種の所有歴と所有台数
  • 顧客の社会的地位と身形とクルマに関する見識の深さ
  • 顧客の○○への貢献度(所属タレント、契約レースドライバー等)

こういうのを複数リストアップして、項目を広く深く満たしてる順に優先的に生産枠を回すのである。こうする事で「××車種の所有者=栄えある○○の重要顧客」という名誉をオーナーに与えられるのである。そう、カネ持ちやエンスーが求めるのは、正にこの「特別な人間である証」なのである。

 この方法だと、たとえばNISMOだとノートNISMOやセレナNISMOは日産車を複数台買ってれば購入権が回ってくるが、RZ34NISMOやR35NISMOの購入難易度はスゲェ高くなっていくのである。でもソレがあるからこそ、購入できた時の誇らしさや特別感は凄まじいモンとなり、自ずとリセールが上がっていくのである。そしてリセールが上がれば、新車価格も上げていける→利益率が格段に上がるのである。そう、台数は少なくてもガッツリ儲けられるのである:
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素は全ての人に平等に&早いモン勝ちで売っていいけど、ワークスブランドのクルマは売る相手をメーカーが選んで売るのである。当然だけど「役物を売る時はディーラーに売る」が暗黙の了解であり、ソレを破って社外中古屋に売ったらブラックリスト入り→今後何処のディーラーでも役物の購入は出来なくなるのである。

 こういうのは欧州メーカーじゃ当たり前にやってる事だし、フェラーリランボルギーニやポルシェ等に至っては役物どころか素モデルですら客は選別される対象である。ソレを「差別だッ!」って言うヤツも居るだろうが、ワタクシはそう思わない次第である。国家は兎も角、私営であるメーカーは客を選ぶ権利があるからである。だからワタクシ常々「こういう売り方すれば生き残れた車種、結構あっただろうなぁ~(´ヘ`;)」って常々思うのである:
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スバルのSTIコンプリートカーがソレであるが、アレも予約先着順なんかじゃなく上記のような購入条件の下で枠を与えられるシロモノであれば、所有者は「ネ申スバリスト」と崇め称えられ、スバリスト達が挙って顧客ランクを上げるためにスバル車を買いまくったであろう(笑)そうすれば、レガシィWRX-STIもアイコンとして今も残っていたであろう。

*薄利多売の終わり
 恐らくニッポンで唯一ソレを上手くやってるのが、トヨタのGRであろう。アレのGRMNの売り方ってのが、正に欧州ブランドの役物車種の売り方のソレなのである。今はまだ数量限定という方法でしかブランド価値を上げれてないが、上手く行けば数量限定の枷も無くなる&車種ラインナップも増えていくんじゃないかとワタクシは予想してるのである。とにかく国産メーカーでも「スゲェ良いモンを高い値段で売る」って売り方が成立する事を証明できただけでも、トヨタは良くやってると言えるのである。今後はスポーツカーだけでなく、他車種でも似たような事をするであろう。

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 別にトヨタやスポーツカーに限った話じゃないけど、ニッポン車はもう「安くて良い」の薄利多売路線で行くのは限界に近いのである。抑々「安い」と「良い」は二律背反するシロモノであり、同時に究めようとすると必ず何処かでボロが出るモンであり、最近良く聞く「ニッポン車の質が落ちた云々」もそのムリをしてるからじゃないかとワタクシは思うのである。じゃあどうするかって、値段を高くして、その代わり高いだけの見返り(満足感、信頼感、リセール等)を付加していくしかないのである。バブル時代は終わったんだと改めて思う今日この頃であった。.