アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

GIVE’EM ENOUGH ROPE

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「誰もが犯しやすい間違いは嫌いな人の存在を認めないことだけど、認めなくてはいけない」

By 秋元康


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


 今回もまたェエークセレント!!ェエーキサイティング!!な結果である。さしずめ、まったくままならぬ世の中で存分に獣と獣、快楽を交し合った結果、他神通あったのである・・・(・_・;)へ?「圧倒的に分からへんヤツの方が多い前置きはえーから、早うタイム言えや!」でしょうか。ファステストラップが32.927秒で、平均ラップが33.500で御座います(笑)最初は「何とか夏までに」と思っていた夢の32秒台が、3日後にアッサリ出ちゃったのである。タイムの出し方は企業秘密なので言えないが(爆)今週のランキングが今から楽しみである・・・とは言っても上は31秒前半とかであるから、まだまだポディウムには程遠いのであるが(^_^;)


 今回、とあるクルマ好きのドクターの興味深い話が聞けたのである。その方は現在BMWのZ4に乗っていて、サーキットは行っておらず、時折峠に遊びに行く程度だとの事である。んで、何でそーゆー話になったかというと。
「へぇ〜世の中狭いものですねぇ。毎回通勤の度に"あのド派手なGDBに乗ってるヤツは誰だ!?"って思っていたんですよ」
「お恥ずかしながらそうですハイ(A^_^;)まだまだガキなものでして・・・」
「外から内装見せてもらったけど、先生(つまりワタクシ)走り込んでるねぇ。普段は何処走っているの?」
「メインは現在の所FISCOで・・・」
といった感じで遣り取りをしていたら、不意にと聞かれたのである
「良く作り込んであるけど、ショップは何処?」
「×○◇店ですが、何か?」
「うん。まぁ、あそこの系列だったら大丈夫だな」
「な、何か問題でも・・・( ̄Д ̄;)」
「いや、ショップを信じるのはいいけど"信者"になっちゃダメ、って事」
時間に多少余裕があったため、ちょっと話を聞いてみる事にしたのは言うまでも無い。


 そのドクターは語り始めたのである「これはとあるクルマバカの話。彼、2浪でやっと大学受かって、念願中の念願だった免許も取れて、親からのご褒美で晴れて憧れだったロードスターを買ってもらえたわけよ。で、多分先生(しつこいようだがワタクシ)もそうだけど、アホみたいに乗って乗って乗りまくる末には峠なりサーキットなりに行くわけよ。当時はネットが発達してなかったから、もう雑誌とか読んで口コミとかで店を探して、とある有名ショップに辿り着いたわけよ。で、最初は自分のクルマをボロクソ言われたんだよ"よくこんな物乗って平気でいられたな"って具合に。最初はカチンと来たけど、自分の知らない領域の知識を延々と話されて、デモカー何かで実際見せられると、こっちは反論出来なくなっちゃうのよ。あの時がケチの付き初めだったね」と。


 すかさずワタクシが「その方は違和感は感じなかったのですか?」と聞くと「感じないのよこれが。オーナーが独善的で傲慢な態度を取るのも確固とした自信の表れで、チューニングに際してメニュー外に余計な加工をされるのも自分のためのサービスであり、常連さん達が我が物顔で汚いカッコしてショップ内で屯しているのも実力と結果でオーナーに認められていて、オーナーや常連さん達が常にディーラーや他のショップをバカにしているのも実績と自信の表れだと本気で思っていた。当時は若かったから周りも自分も見えなかったんだろうなぁ。あとは先生も予想付くと思うけど、僕もその店に通うようになっていたわけよ。ショップに通えば通うほど、カネを落とせば落とすほどクルマが良くなってタイムが伸びてくる。一度味を占めると病み付きになるんだはこれが」


 そこでワタクシはこう尋ねた「ひょっとしてその方、クルマの速さ以外の要素もそのショップに求めていたんじゃないですか」と。すると「その通りだよ先生。彼は"自分のドラテクが上手くなっていくのが楽しい"以上に"皆と一緒に居るのが楽しい"だったんだよ。自分がショップに溶け込んで行くにつれてオーナーからも手厚く迎えられて、公開していない常連オンリーのマル秘メニューを教えてくれる。その"マル秘メニュー"を施される事がショップ内でのステータスに繋がって、オーナーや年配の常連さんからは"遂にここまで来たな!"って肩を叩かれて、ショップに来たての人からは"やってもらえたんですか、羨ましい"って尊敬の眼差しを向けられる。元々狭い上に一般世間からはあまり良い目で見られていない世界でコレだよ。どれだけ気持ち良いか想像出来るだろう」との事である。


 更にワタクシが「ひょっとして彼は"仲間に認められたい"のではなく"仲間外れにされたくない"のではなかったのですか」と突っ込んでみた所「正にその通り、彼は嫌われたくなかったんだよ。余所の店やDIYでパーツを付けてオーナーに怒られた挙句、村八分にされた人が実際何人も居たし、彼もそれに加担してイジメを楽しんでいた。だからアライメントみたいな専門的な部分は言うまでも無く、オイルやスパークプラグまでわざわざ工賃払ってあのショップで交換していた。とにかく"このままずっとワイワイ楽しくやり続けていたい、今更1人は寂しい"って強迫概念に駆られていたんだよね。でも・・・」そこで話が急展開する。


 しつこいようだが(笑)ワタクシが「"でも・・・"って事は、破局したのですか?」と尋ねると「破局したんだ。彼は医学生で機械関係には詳しくなくても、時間が経つにつれて自分で分かるようになって、何時の間にか専門的な部分を除けばDIYでやるようになっていて、チューニングも殆どやらなくなった。ショップにはアライメントを伴うような大掛かりなメンテナンスの時にしか行かなくなっていた、そこからオーナーとの軋轢が生まれたんだよ。相変わらず"お前は素人なんだから"みたいに上から物を言うオーナーに対して、彼は"素人だけど、それ以前に客です。貴方もサービス業者なんでしょう"って啖呵切っちゃったわけ。当然、全員を敵に回す事になるよね。すると次の日からは何時行ってもオーナーは不在、ピットは何時も満杯、常連さんは何時もシカト、彼はようやく自分のバカさ加減に気が付いて、そのショップで取っていた全予約をキャンセルして出て行った、ってわけ」


 んで「その後、彼とロードスターはどうなったのですか?」と聞いた所「彼はロードスター売っちゃった。あのショップの全てがイヤになってクルマをフルノーマルに戻そうとして数年ぶりに行ったディーラーでとんでもない額を提示されたのと、走行会なんかでショップの人達だけでなく他の人からも"アイツはあのショップの信者"って目で見られて孤独を感じたのが原因で、ね。その後の彼は医師国家試験の勉強→試験→合格→研修医としての多忙な日々を得て、この度神奈川県は茅ヶ崎まで転勤してきたのよ。ようやく生活が落ち着いてきて"一人で走っても寂しくない、ムリにワイワイガヤガヤやる必要は無い"って事に気が付いてまた走りたくなったから、つい1年前にBMWのZ4を買ったって話。忙しい所ごめんね、こっちももう行くは」と最後に言って仕事場に戻ったのである。何処の誰が言ったのかは定かではないが「"信者"と書いて"儲ける"」と古人は良く言ったものだとつくづく思う今日この頃であった。