アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

REVENGE

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「希望とは、ただ高みの見物を決め込んだり、戦いから逃げ回るだけの脳天気な理想主義のことではない。希望とは、果敢に手を伸ばし続け、働き続け、戦い続ける勇気があれば、今より良いものが何か待っていると、頑なに信じ続ける心のことだ。一生懸命働く気持ちがあるならば、何者だろうと構わない。どこから来たのでも、外見がどうだろう、どこを愛していようと構わない。黒人だろうが白人だろうが、ヒスパニックだろうがアジア系だろうがアメリカ先住民だろうが構わない。若くても年寄りでも金持ちでも貧乏でも、五体満足でも障害があっても、ゲイでもストレートでも。やる気さえあれば、ここアメリカなら成功できる。この未来を、みんな一緒につかめると私は信じています」

By バラク・オバマ 〜 2012年大統領選の勝利演説にて


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


アンダーステア国家のアクセルを踏みぬく勇気

 アメリカはアンダーステア国家。ワタクシはそう考えているのである。アメリカって国は現在首位を独走していて、その首位を何が何でも守り抜こうという意志が非常に強い。だからどんな分野において何をするにしても常にギリギリ限界まで攻め込もうとするから、時々信じられないようなコースアウトをしたりスピンをしたりする。ベトナム戦争然り、リーマンショック然り、ビッグ3倒産然りである。が、アメリカの真骨頂はココからであり、アメリカという国の凄さは「一度犯したミスは二度と起こさない」だとワタクシは思うのである。一度ソコで手痛いコースアウト&スピンをしても次の周回じゃシッカリ反省&学習してきて、同じ場所で華麗なゼロカウンターからの鋭い立ち上がりを見せる。ベトナムの泥沼を教訓にしたアフガン戦争然り、ストライキ後ドン底まで落ちたMLB復活然りである。だからニュースとかなんかで「アメリカは落ち目」とか言われても、ワタクシは基本信用しないことにしてるのである。


 も一つアメリカの真骨頂といえば「五分五分の勝負だったら、アメリカは確実に攻めの一手を選ぶ」というトコである。前回(2008年)の大統領選挙が正にソレである。リーマンショックのせいで経済はドン底。大統領候補は面白みのない高齢白人だけど堅実な政策を掲げるジョン・マケインと、もう一方は「初の黒人」「若年」という地雷を抱えながらも改革と変化を呼びかけるバラク・オバマ。コレがニッポンだったら「不況なんだから地道にマケインでいいんじゃね?」ってなるだろうけど、結果はご存じのようにほぼダブルスコアでオバマの圧勝。ワタクシも4年前リアルタイムで選挙観た時「さすがアメリカ人っ!こんなドン底でも俄然とアクセルを踏んでいけるッ。そこにシビれる!あこがれるゥ!」と思ってしまったモンである(笑)ようするに「失敗しても再挑戦すればおk」って考え方が骨の髄まで染み渡ってて、勝者(特に再挑戦からの)に対して惜しみない称賛を送るのが当たり前になってるからこそである。


*フツーvsフツー

 でもって今年のバラク・オバマvsミット・ロムニーアメリカ大統領選挙である。何ちゅーか「勝因も敗因も”ロムニーだから”に尽きる選挙だった」ってのがワタクシの感想である。ロムニー陣営は「オバマは何もしていない。現に景気が回復してないじゃないか」というのを前面に押し出しているが、そりゃ100年に1度クラスの大不況がたったの4年で良くなるはずはないって話である。もしもオバマじゃなくマケインが勝ったとしても多分同じ状況になり、民主党候補になるであろうヒラリー・クリントンが同様の批判をしていたはずである。ワタクシのオバマに対する評価は「良くも悪くもフツー」である。ケネディみたいな当たりでもなけりゃ、カーターみたいな外れでもなく、フツーである。だからロムニーが「レーガン2号」だとか「アイゼンハワーmk2」と呼ばれるようなスター性があって有能なヤツだったら、ほぼ間違いなくロムニーが勝ってたとワタクシは睨んでるのである。


 都市部&マイノリティー&リベラル層&低所得層の支持を取り付けたオバマと、反対に地方&マジョリティー&保守層&富裕層の支持を取り付けたロムニー。政府による手厚い支援&対中国穏健路線&同性婚支持を掲げるオバマと、民間主導経済&対中国強硬路線&中絶反対を掲げるロムニー。何ちゅーか、余りにもベタ過ぎる選挙戦のテーマである(-_-)でもって上記にもあるようにフツーなオバマに対し、家柄や教養レベルは高いけど知識不足や失言などでプラスマイナスゼロなロムニー。ぶっちゃけた話、政権運営能力だけならどっちを選んでも同じだったんじゃないかなとワタクシは思うのである。でも結果はご存じの通り、選挙人数でも投票総数でもオバマの勝利。何が勝敗を分けたのかと問われたら、ワタクシは「アクセルを踏んでるのはどっちか」をアメリカ国民が判断したからじゃないかなと思うのである。


 簡単な話である。思いっきりベタに古き良きアメリカを前に押し出すロムニーと、初の黒人大統領としてのチャレンジを継続したいと訴えるオバマ。同じぐらいの実力だったら、よりアクセル踏んでる後者を選びたくなるって話である。もしもロムニーが嘗てのレーガンみたいに「強いアメリカ」と「明るい希望」をカリスマ全開で魅力たっぷりに演説できる候補者だったら話は別だっただろうけど、ロムニーはベタな白人票しか取り込むことが出来なかったのが敗因である。つまり「私白人だけどオバマに投票した」って票は相当数あるだろうけど「私黒人だけどロムニーに投票した」って票は雀の涙ほどしかないワケである。オバマ陣営は「相手がロムニーだった」から勝てたのであり、ロムニー陣営は「ロムニーが候補だった」から負けた。ワタクシが「勝因も敗因も”ロムニーだから”に尽きる選挙だった」と評したのは、つまりそーゆー事である。


*地主と民主主義の関係

 アメリカの選挙見て何時も思うのが「何故アメリカじゃココまで徹底した民主主義が行えるのか」であるが、ワタクシは最近「アメリカには”大地主”が(デファクト上)いないから」と思ってるのである。ヨーロッパでの民主主義がココまで活発にならないのは、どの国にも”大地主”と言える民族がいて、何をどーやっても「大地主>>余所様」になる→余所様の良いトコを中々取り入れられないからだとワタクシは考える。何だかんだで人間、最後の最後には民族や土地に帰依するモンである。だからアメリカ以外じゃ、どの国も最終的にはその土地に一番根付いてる&一番数の多い民族の志向が最終的に優位に立つのである。例えばニッポンだと大和民族が圧倒的多数で、民主主義よりも先に”和の精神”ってヤツが根付いてしまってる。だから欧米州民主主義がやってきた後も無意識的に”和の精神”が先立ってしまってるし。人間関係云々にしても”大和民族であるか否か”が否が応にも優先順位が上になるって感じである。


 ところがアメリカじゃ”大地主”と呼べる民族が存在しない。一応”大地主”に相当するのがネイティブ・アメリカン(インディアン)なんだろうけど、実質が無いのでこの場合は割愛する。一番権力と勢力を持ってるのがWASPアングロサクソンプロテスタント教徒の白人)だが、WASPは余所様である。つまりどの民族も「生まれながらにしての優位」ってのを持っていないから、全民族が「力の差はあれど、立場的には皆同じ」ってスタンスを取れる→自ずと民主主義が活発化するワケである。どちらが良いのかと問われたら不勉強なワタクシには難しい問題であるが、少なくとも結果出してるという意味ではアメリカ式のソレが優位だというのがワタクシの意見である。さて、コレ以上喋るとワタクシの政治への疎さと教養の無さがカムアウトされてしまうので(笑)早々に立ち去るに限る今日この頃であった。