アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

TO DUST YOU WILL DECAY

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「真っ直ぐな道で迷った者はいない」

By ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*ハンドリングこそ全て

 こう言うと意外かも知れないが、ワタクシは別にエコカーや軽自動車が嫌いなワケではないのである。ソレが乗ってて楽しい&眺めてて楽しいのであれば、ハイブリッドカーだろうがミニバンだろうがコンパクトカーだろうが軽自動車だろうが一向に構わんのである。問題は冒頭の「乗ってて楽しい&眺めてて楽しい」が(特にニッポン車においては)ゴッソリ抜け落ちてて、ただ単なる道具と化してる事にあるのである。だからワタクシはその主犯格的なトヨタから86(とBRZ)が出てきた時、諸手を挙げてソレを歓迎したのである。コレをキッカケにハンドリングの楽しさが普及すれば、ニッポン車はより良い方向へ行くのではないか、と。確かに粗探しをすれば色々問題はあるのであるが「お手頃な本格的ピュアスポーツカー」としての86/BRZの登場は大いに意義があるというのがワタクシの意見である。


 前にも言ったと思うが、この価格帯で実用性の高い軽量小型のFRのピュアスポーツカーなんて、実は世界中何処のメーカーも作ってないのである。ケータハムみたいに実用性を度外視したのか、アメ車みたいにムダに重たいのだとか、BMWやベンツみたいにムダに高いか。FRって車種は多いように見えても、選択肢は思いのほか少なかったりするのである。ソレが分かったのかイギリスの"Autocar"誌では【2012年度ベストドライバーズカー】に選ばれているし、あの辛口&毒舌で有名なBBCトップ・ギアでもご覧の通りである:

流石ジェレミー、良く分かってるのである。このクルマの最大の魅力は「素性の良さから生まれる素晴らしいハンドリング」が「街乗りやワインディングなどの法定速度内で楽しめる」という2点のコンビネーションにあるのである。だからわざわざサーキットまで出向かなくったって、街中の交差点で、高速道路のICや料金所で、そして真骨頂は峠でのワインディングで味わえちゃうのである。ワタクシがこのクルマを過剰に弄る事をお勧めしない理由は、限界を上げ過ぎると上記の「街乗りやワインディングなどの法定速度内で楽しめる」が無くなる→魅力が半減するからである。


*空の道の切り馬車・走

 さて先日の【スカイラインクーペ】の話の続きである。先日話した音響システムの使い勝手やドラポジに並んで、ワタクシ的に良いなと思ったのが【VQ37VHRエンジン】である。確かにVR38DETTと比べるとパワーもトルクも劣ってるが、先日も言ったようにNAエンジンの魅力はソコじゃないのである。アクセル開けた瞬間にグッとトルクが滑らかにかかって、そのままの素直な勢いでグングン加速していくのである。だから赤信号からの発信でも、合流路線に入る時でも、料金所からの発進においても、追い越し車線での加速においても、ホントに気持ち良く加速する→だから知らず知らずの内にアクセルを踏むのが楽しくなって、結果クルマの運転も楽しくなるって話である。やっぱクルマの楽しさで一番大事なのはエンジンパワー、特に加速力だと痛感した次第である



 エンジンレスポンスも非常にスムーズで、変な振動も無く綺麗に上まで回る。排気量が大きい&空力的にも良く出来てるから、高速道路とかでも加速が鈍る事が無ないし、その際にエンジンもスムーズに回って気持ち良く加速できるのである。加速の強さ&大きさではなく、そのスムーズさと心地良さこそが大排気量NAエンジンの魅力であり、コレこそ正に「数字には表れないクルマの楽しさ」であるとワタクシは思うのである。こーゆーのを味わうと、アストン・マーティンだとかマセラティだとかがNAに拘る理由が良く分かるってモンである。が、問題が無いワケではない。その一つが5速ATである。5速しかないから変速時のドロップやブリッピングが大きい→変速ショックが起こるって事であり、あと高速道路を巡行する時に回転数が高くなる→燃費が悪化するって事である。何ちゅーか、後期型になって5速ATから7速ATに換装された理由が良く分かるのである。


*空の道の切り馬車・止&曲

 エンジンは素晴らしいんだけど、残念なのがブレーキである。走りを重視したクルマのはずなのに、ブレーキが半分カックンブレーキなのである。ABSが作動する手前になって抵抗が生じるのであるが、ソコまでは踏んだ量に応じてブレーキが利く、典型的なカックンブレーキのソレなのである。折角良いエンジンを積んでるのに、ワタクシとしてはコレが残念で仕方ないのである(´・ω・`)コーナリングってのはブレーキコントロールから繋ぐモンなのに、そのブレーキコントロールがカックンブレーキのせいでスムーズに出来ないんじゃ話にならないって事である。あとは足回りであるが、リアサスのストロークが少ない&フロントサスのストロークがムダに多い→後輪に荷重をかけて曲げる感覚が掴みにくいのである。ココ最近の日産車はカックンブレーキを止めている&日産の中の人やってるロンマニアの方曰く「来年出る新型スカイラインからは、従来のセパレート式(ショックとスプリングが別々の足回り)リアサスを止めた」との事であるから、希望は持てそうである・・・・ワタクシはスカイラインを買う気ナッシングだが(笑)


 も一つ気になるのがコーナリングである。コレは「曲がらない」というのではなく「曲がっても真っ直ぐに戻ろうとする」って感じである。コーナリング中にアクセル開けると、クルマが直進性を確保しようとする→ステアリングが正位置に戻そうとする力が働くため、コーナリングの楽しさがスポイルされてしまうのである(´・_・`)何故だろうと思って調べたのであるが、このクルマのホイールベースは2850mmもあるのに対し、トレッドは1550mmしかない→ホイールベーストレッド比が1.84もあるんだから、そりゃ曲がり難いはずである(-ω-;)このクルマの上級グレードに【4WAS】が搭載されてるのは、つまりそーゆー事なのである。ただその代り直進性は抜群であり、特に高速道路なんかで延々と真っ直ぐ走るには最適なのである。何せアクセル踏んでいれば勝手に真っ直ぐ走る&ちょっとやそっとの事だったらクルマが勝手に安定するので、運転してる側としてはステアリング握る手にムダなテンションかけなくていいから楽なのである。


*空の道の切り馬車・総括

 ワタクシの結論はこうである。このスカイラインクーペというクルマは、高速道路を巡行するため&名前が示す通りスカイライン(道幅の大きな高速型の山道)を走るのに最適化されたクルマなのである。だから加速性能が重要視されるのであり、ブレーキを残しながら曲がるシチュエーションを想定していないからカックンブレーキ&ストロークの無いリアサスで事足りるのであるし、厳しいカーブも無いから直進性が重要視されるし、楽な道を気持ち良くクルージングするために快適な車内環境が作られたのである。コーナリング性能が欲しけりゃカックンブレーキじゃない&ホイールベーストレッド比がより小さい(因みに1.62)Z34を買えって事だし、極限のハードコアが欲しけりゃR35を買えっちゅーのが日産の見解なのである。BNR32からBCNR33にモデルチェンジした時に叩かれたのは車重や大きさだけでなく、ホイールベーストレッド比の増加(1.76→1.83)による曲がり難さもあるんじゃないかなとワタクシは思うのである。


 だからと言って、このCKV36型スカイラインクーペが悪いクルマなのかと言われたら、答えは「ノー」である。やっぱ何だかんだ言って、良いエンジンを積んでるクルマは良いクルマなのである。とは言っても現行のCKV36型も既に末期に入るので、もし本気で購入を検討されてるロンマニアの方がいるとしたら、確定情報が出るまで待つのをワタクシはオススメする。新型が気になるのもそうであるが、やっぱ何だかんだ言ってフルモデルチェンジ前の最終モデルが一番熟成されているからである。新型が必ずしも気に入るとは限らない&フルモデルチェンジ後の新型は大概何かの不具合が出る&最終モデルは不具合や欠点を改良され尽くしている&モデル末期は在庫処分のために結構オマケしてくれる可能性が高い&最終限定モデルはプレミアつき易いから、ヘタしたら新型買うよりもずっと良い場合だってあるのである。さて、自分じゃまず買いもしないクルマの話はコレぐらいにしておいて(笑)寒いので風呂に入ってこようと思う今日この頃であった。