アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

VOIMASTA JA KUNNIASTA

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「伝説には民衆の愛憎と夢が託されている」
By 亀井勝一郎

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*究極のホンダ車
 サブタイに対するワタクシの答えは「初代NSX」である。当時世界最先端のVTECエンジン、世界初のアルミモノコックといった技術面もそうであるが、当時のスーパーカーの「スーパーカーは利便性を犠牲にして乗るモン」「スーパーカーは基本飾りモンであり、毎日乗るなんて以ての外」っていう常識を全てひっくり返した、イノベーションの塊のようなクルマだったからである。そんでもってちゃんと速い上に値段も800諭吉と”お買い得”だったのだから、そりゃクルマ好きならワクワクドキドキするなってのがムリな話である:

HONDA NSXデビュー 黒澤元治が舞う!【Best MOTORing】1990
もしもワタクシがあと30年早く生まれてたら、間違いなく速攻でNSXを予約していたであろう。そう、このイノベーションの嵐こそがホンダがホンダたる所以だとワタクシは考えているのである。もしもこのクルマが7~8年のサイクルで順当にフルモデルチェンジを繰り返していたら、多分今頃はポルシェ911と肩を並べる存在になってた筈である。

 こう書けば、今の現行NSXの何がウソでクソかが分かって頂けると思うのである(笑)そう、この新型にゃイノベーションのイの字も見当たらんからである。世界初の技術なんて何処にも無いし、従来の常識を何一つひっくり返してないし、ソレより何より走りが全然ダメだからである。何回もフルモデルチェンジして何十年と作り続ける重要さをホンダは全く分かってないのである┐( -"-)┌

《ENG-Sub》2016 新型NSXにダメ出し!? 黒澤元治 全開インプレッション【Best MOTORing】
せめて半額の1185諭吉で売るか、全額2370諭吉でも488やウラカン911ターボよりも断然速けりゃ幾分かマシだったのであるが、ソレすら無いときたモンである┐(´∀`)┌因みにGT-Rは初登場時、マジで777諭吉で911ターボや458やガヤルドよりも速かったんだから、言い訳無用である。コレがフラグシップなんだから、如何に今のホンダが終わってるかが分かるってモンである。

*伝説へのパスポート
 以前にも言った事があるが、ブランドというのは大きく2つに分かれるのである。1つ目はソニーコカ・コーラやナイキみたいに一般大衆に安く広く普及してる「マスブランド」であり、2つ目はハリー・ウィンストンやオーデマ・ピゲやルイ・ヴィトンみたいに富裕層に高額で少数だけ普及してる「プレミアムブランド」である。クルマで言うとトヨタフォルクスワーゲンヒュンダイが前者で、ベンツやフェラーリマクラーレンが後者であろう。後者になるにはどうしたら良いかって、先ずは長い歴史と伝統があるのもそうだけど、もう一つ大事なのが「伝説」である。桁外れのパフォーマンスがあって、ソレを様々な場で遺憾なく発揮して、故に著名エンスージアストやセレブに重宝されて、ブランドとしての価値が生まれるのである。

 その伝説は色んなトコで生まれるが、ソレを最も簡単かつ有効的に表せるのがレースである。本田宗一郎が「ホンダはレース屋じゃない」と言ってるのと同じ口で「レースはホンダのDNA」と言ってるのは、つまりそういう事である。ホンダが最高峰であるF1に挑んだ事がどんだけ効果があったかは、未だ世界中に多く居るコアなホンダファンの数を見れば分かると思うのである:

50年の夢F1世界制覇
何故ホンダのF1撤退があんだけ叩かれるかって、つまりそういう事である。このまま伝説を築き上げ続ければ、ホンダはニッポン初のクルマのプレミアムブランドになれた可能性が高かったからである。その事は間違いなくニッポンのクルマ業界全体のブランド力の向上に繋がるだけでなく、ニッポン人にとっての大きな誇りにもなったからだろうからである。そう、大企業ってのは単に社員の利益だけではなく、その国の誇りをも背負っているのである。

 その伝説へのパスポートを「コレからは環境の時代ッ!カーボンニュートラルこそが至高ッ!」っていうダサい理由で捨てたんだから、そりゃ叩かれるに決まってるのである┐(´д`)┌この後ホンダがフィットやオデッセイやN-BOX、及び今後出るであろうエコでカーボンニュートラルなクルマを何百万台何千万台売ろうとも、ホンダは決してプレミアムブランドにはなり得ないのである。前回も述べたように「他のメーカーには無い、世界中でホンダにしか成し得ない”何か”」が今のホンダにゃ無いんだから、ソレが未来になって突然出てくるとは思えんのである。営業部が技術部よりも社内で影響力を持つようになった時点で、もう昔のホンダは完全に無くなってしまってたのである。

*マスブランドの落とし穴
 まぁ今のホンダの状況や売れ筋を見れば、F1撤退は即ち「我々はプレミアム性を捨て、コレからはマスブランドとしてやっていくッ!」って意志表示なのであろう。ソレはソレで悪い事だとは思わんが、大きな問題が1つだけあるのである。ソレは「だったらトヨタ車買えば良いんじゃね?」という事である(笑)そう、ニッポンには既に大正義トヨタという、世界最大のマスブランド自動車メーカーが存在してるのである。言っちゃ悪いがホンダがコレからしようとしてる事は、トヨタがもう10年以上前からやってる事なのである。今からトヨタに追い付こうと思っても、追い付けるどころか更に突き放されるだけである。F1撤退で浮くカネを費やしたって、トヨタはソレ以上を既に費やしてるんだから、焼け石に水である。


トヨタ環境チャレンジ2050 | Toyota

 マスブランドって数字で優劣が決まり、コスパやスペックの優れたトコに需要が一点集中してしまうモンなのである、結果として「マスブランド以外は全部泡沫メーカー」って現象になるのである。プレミアムブランドの長所は何かって、そういう風に数字で優劣が決まらない事である。故にシェアの奪い合いが少なく、共存も容易なのである。そう、プレミアム性の何が大事かって、ブランドの生存率が大幅に高まる事なのである。熱心で裕福な固定客が付くから不況の影響を受け難いし、クルマが売れなくてもライセンスは売れるし、経営不振でも会社の買い手は多いからである。ホンダはマジでデカいモンを失ってしまったと思う今日この頃であった。

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