アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

TO HELL WITH THE DEVIL

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「自然を見て美しいなと思うこと自体が、不自然なんだよね。汚れた生活をしている証拠だ」

By 森博嗣


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*不自然な自然

 多分前にも言ったと思うが、ワタクシはエコロジーが大嫌いである。無論「ムダを極限まで無くした結果」としてのエコなら大歓迎だし、ワタクシに言わせればソレこそが本来の意味でのエコロジーだと思うのである。ワタクシが嫌っているのは「まずは数値ありきのエコ」である。例えばハイブリッドカーが正にソレである。ハイブリッドカーがエコ?ンなワケ(ヾノ・∀・`)ナイナイ。ハイブリッドカーのモーターに使われるネオジム磁石であるが、ソレを作るためには大量のレアアースが必要なのである。でもって、レアアースの精製には大量の石油が必要であり、副産物としての放射性廃棄物も大量に出る。コレの何処がエコなんだって話である。でも大手自動車メーカーが広告出してるマスコミにゃそんな事は一切報道されず、ただひたすら「リッター何キロ、Co2排出量いくら」という都合の良い部分しか出て来ないのである┐(´-`)┌


 こんな事言うと環境保護派からは「お前は地球がどうなってもいいのか!」とか言われそうだが、ソレに対しワタクシは「どうなってもいい」と答える次第である(笑)恐竜だって滅びたし、ピテカントロプスネアンデルタール北京原人も滅んでるのである。ホモ・サピエンスだけが未来永劫永遠に生きられるなんてワタクシは思っちゃいないし、滅んだら滅んだで別のナマモノが覇権を握って、地球は何事もなく回り続けるであろう。ソレにワタクシもあと100年は生きられないだろうし、女房子供もいないから、その後の地球の事なんて知ったこっちゃない(爆)二足歩行を身に付け、道具を使うようになり、言葉を話し、文化を持つようになり、科学を生み出し、技術となる。ワタクシに言わせれば、今までの人類の歩みそのものが自然の法則に基づいた進化なのである。ソレを否定するって事は、即ち人類そのものの否定なのである。


*ナントカは○○だ!

 時々、ワタクシは無性に映画が観たくなる時があるのである。ソレが起こるキッカケはワタクシにも予測できず、フツーに生活してる時に何気なくふと目に留まったソレがワタクシの心をガッチリ捉えてしまうのである。今回もネットでふと「お前らがトラウマになったゲームのシーンを挙げてみろ」って主題のHPを見つけ、ソコで「ソイレント」っていう単語が突然気になって、その単語をググってみたら元ネタである映画が無性に観たくなって、気が付いたらアマゾンでポチってた&面白かったって話である:

もしも「今リメイクして欲しい映画は?」と問われたら、ワタクシは速攻で「ソイレント・グリーン」って答えるであろう。コレは1973年、つまり40年前のチャールトン・ヘストン主演の映画である。急激な人口増加とソレに伴う環境汚染に歯止めがかからなくなった2022年(つまり今から9年後)のニューヨークが舞台の物語である。酷過ぎる環境汚染&地球温暖化が原因で地上の殆どの動植物が絶滅状態に陥ってしまい、人口増加が凄過ぎて失業問題やモラル低下や食糧問題が超絶深刻化した近未来。超極端な格差社会の中、極僅かな富裕層だけが宝石並みの値段(調味料と痩せ細った野菜果物数点で何と279ワシントン=73年当時の紙幣価値で約20諭吉^_^;)のリアル食物をエアコンが効いて蛇口から水が好きなだけ出るマンションで堪能できる。その他大勢の大衆はホームレスとして街の至るトコに溢れ出し、ソイレント社が供給する海中プランクトンを加工した人口食品(因みに1キロ2ワシントン^_^;)と配給制の水で飢えと渇きをギリギリ凌いでるディストピアの物語である。因みに原作はコレである:

そんな人口4000万人(という事は現在の約4〜5倍の人口^_^;)のニューヨークで刑事やってるヘストン扮するソーン刑事が、つい先日”画期的な新商品”として新食品ソイレント・グリーンを発売したばかりのソイレント社の重役が殺された事件を担当する事から、この物語が始まるのである。この映画をどう説明したものか悩んでいたのであるが、何と映画そのものが既にネット上にあったりする:

「買って損したなぁ(´・ω・`)」と思わなかったかといえばウソになるが(笑)ソレでもDVDの方が画質も上なんで、素直にDVD買うのをお勧めする次第である。因みにこの動画のコメントにはネタバレあるんで、コメントは消して観るのがお勧めである。ワタクシ的に好きなキャラは、何と言ってもソーンの相方である本人間ソルである。ソーンが事件現場からくすねてきたリアル食物を見て驚く時のリアクションだとか、牛肉を見て感極まって泣き出すトコとか、ソレを美味しそうに食べる時の幸せそうな顔が最高に(・∀・)イイ!のである。因みにこのソル役の人は映画「十戒」でもヘストンと共演していたりする。メチャクチャになる前の世界を知ってるソルと、メチャクチャになった後の世界しか知らないソーン。この二人の掛け合いが最高に面白いのである。


 昔の映画だから仕方が無いとはいえ、やっぱ演出が古臭いのは仕方ないっちゃ仕方ない(^_^;)あと2022年にしてはリアル現在以上に何もかにも遅れてるのであるが、流石に当時の人でもインターネットとケータイの進化は予測できなかったのであろう。この映画の何が面白いかって、救いの無い末法的な世界の描き方もそうだけど、何と言っても「40年後の今観ても、予想してる事は強ち間違っちゃいない」ってトコである。さて後半、事件の真相に迫るシーンである:

久しぶりに映画で泣いたのはこの後半20分から先の部分である。真実を知って絶望し、書置きを残してホーム(公共安楽死施設)へ向かったソル。机に残された"Thorn, I'm going home"(言うまでもないけど「家に帰る」と「ホームへ死にに行く」の二重の意味)のメモを見たシーンからもうウルッと来てたのであるが、涙腺が崩壊したのがホームでのシーン。毒を飲んでベッドに横たわったソルの頭上モニターに映ったのは、何と嘗ての美しかった時の地球の映像。人間がメチャクチャにして、もう二度と戻ってこない、自然豊かだった頃の地球の映像。ソレを安らかに見上げるソルと、その見た事もない美しさに圧倒されて感極まるソーン。ワタクシの「好きな映画のシーン」に新たな1ページが刻まれた瞬間である(´;ω;`)


 でもって余りにも有名な映画のラストである。ココから先はネタバレ防止するんで、見たいロンマニアの方はドラッグ&反転でお願いする次第である。この映画で全般的に漂っていたのは「た、確かに動植物はほぼ絶滅状態だけど、ぷ、プランクトンがあるから人類まだ大丈夫だし(震え声)」という”かすかな希望”であったが、真実はなんと「そのプランクトンや海棲ナマモノすらも絶滅していて、残ってるナマモノは人間だけ」なのであり。最後にソーンが「ソイレント・グリーンは人間を原料にして作ってるんだ!今はまだ死体で補ってるけど、ソレももう限界だ!このままではやがてヤツらは原料用の人間を飼育するようになるだろう。その前に何とかしなくては!」と告げた後、この映画を代表する名台詞である「ソイレント・グリーンは人肉だ!(Soylent Green is People!)」に繋がるのである。


*オリジナルの凄さ

 この「人肉を食料加工する」というシーンは余りにも有名で、色んな作品に用いられているが、このオリジナルを観た後じゃインパクトが無くなってしまうのである。何故かと言えばオリジナルは「人肉を食料加工する」という発想のグロさもそうであるが、ソレ以上に「もう人間以外に食うナマモノが無くなってしまった」という余りにも悲惨な世界があるからこそ相乗効果を生み出すのである、ところがこのネタ使った二次作品ってのは、ドレもコレも前者のグロさばかりを強調していて、後者の悲惨な世界観を無視してるのである。ワタクシに言わせれば、前者よりも後者の方が比べモンにならんぐらい怖い。前者は他の選択肢があるが、後者には他の選択肢が存在しない→食人鬼になるか飢え死ぬか、どっち転んでも最悪の選択肢しかないからである。


 この映画のシーンは最後にソーンがどうなったかが描かれていないが、ワタクシはソレが正解だと思うのである。何故ならソーンがその後どんな結末を辿ろうとも「もう人類は絶滅するしかない」という結論は変わらないからである。というワケで、久々の映画ネタである。そもそもワタクシは捻くれモンなんで(笑)こーゆー小難しい映画が大好きなのである。観終わった後も、世界設定や作者の意図について延々と考察を続けられる、そんな作品が好きなのである。ワタクシに言わせれば最近矢鱈多い「細かい事なんざどうでもいい!大事な人が死んだんだぞ!泣け!さぁ泣け!!」っていう押し付けがましい映画なんぞ、感動するどころか白けて逆効果である┐( -"-)┌でもまぁ、こんな事ばかりやってるからワタクシはモテないんだって事は重々承知の上なんで(笑)素直に感動する術を学びたいと思う今日この頃であった。