アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

Saturday Night Holocaust

 それも数年前までの話、いまや外科系の医局は何処も研修医不足に頭を抱えている。理由は簡単、きついからである。ワタクシの学生時代も、年を重ねるごとに勧誘が厳しくなっていた。「体育会系はきつくて厳しいからイヤ」と言って生理的に受け付けない人々が年々増えているからである。こうした連中が6年後卒業して医師になると、今度は「外科系はきつくて厳しいからイヤ」と言い出すわけである。

 「イヤなら来なければいい」と突き放すのは簡単なのだが、そうは問屋が卸さない。研修医がいないからといって、雑用がなくなるわけではない。研修医が入らなくなったら、今まで研修医がやっていた仕事を上の人間になってからもやらなければならなくなるのである。ワタクシの医局でいえば専門医(7年目以上)になってからも伝票を書かなければいけなかったり、わざわざ夜中にCTを立ち上げに行かねばならないなんて事態になる。

 そんでもって、研修医にアピールできるものがあるかと言えば、悲しいことに答えは「無い」。表面だけ取り繕っても、心の中に潜んでいるものは多かれ少なかれ見えるものである「俺がお前らぐらいの時は」なんて話がまさにそれ。研修医もバカではない、そんな雰囲気は直接的にしろ間接的にしろ感じている。隠せば隠そうとするほど歪になるだけだろう。

 それにこれはワタクシの意見だが、いい加減外科系独特の体育会系的メンタリティーは何とかした方がいいと思う。どう考えても非合理的、非生産的だし、今時精神論で何とかなるなんて考え方はナンセンスである。勿論、先人の知恵と経験を尊重する、シビアな仕事だけに厳しさが必要、といった外科気質の良い面は残しても良いと思うが、ジェラシーや私恨からくるそれは排除した方がいい、と思う今日この頃であった。