アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

FROM THE UNDERGROUND AND BELOW

 就職活動である、脳外科を続けられるか否か人生の一大事である、緊張モンである。さぁ、心のフンドシを締めて掛からんと・・・・と電車の中、ふと"師匠"の言葉を思い出す:

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「お前さぁ、人と話すとき顔が硬くなるだろ。傍から見ると不機嫌そうに見えるんだよねぇ。それってかなり損をしているよ。やっぱ人間ってゆーのは、ファースト・インプレッションが大事なんだよね。長く深く付き合えばお前が良い奴だって事は分かるんだけど、そういう風に付き合う人って少ないだろう。殆どの人が短く浅く付き合うから、それが分からないんだよ。だからその時に硬くて不機嫌そうな顔をすると一気に印象が悪くなるのよ。だからさぁ、人と出会う時、もう少し肩の力を抜いて笑ってみ。それだけで印象が変わるよ。オレもさぁ、むかし無口で内向的だったんだよねぇ、今のお前と一緒で。だけど変われることが出来た。だからお前も出来るはずだよ」

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 そうだそうだ、スマイルスマイル。よし、今からワタクシは"微笑の貴公子・ロン様"として出張先の面接に挑むとする。上手く行けば良し、失敗しても悔い無し。当たって砕けろ、である。初っ端から院長様直々の登場、ここでスマイル一発、声を1オクターブ上げて気持ちよく挨拶。そして話を初める前に「いや〜〜、本当に良い所ですよねぇ。町も良いし病院も良い。気に入りました」と一言。自分の病院を褒められて嬉しくない人はまずいない。これで一気に緊張がほぐれて話が軽やかに進む。

 次に出張した場合の直接の上司となる方との面会。緊張する場面だがここでもスマイル。「君は何て呼べばいいのかな?」「ロン様で結構です」とギャグを一発。外国ではユーモアの事をアイス・ブレイカーと呼ぶ。これはお堅い状況を崩して気楽になれる状況を作るための道具という意味である。これもまた上手く行き、お陰で色んな貴重な情報を短い時間内に引き出すことが出来た。やっぱり"師匠"の教えに間違いは無かった。やってみるモンである。

 肝心の交渉のほうはといえば「来てくれるかね」「宜しく御願い致します」。この間、僅か1秒。まさしく「あっ」と言う間の交渉成立である。行く前は人生の一大事と思っていた事が、あっさり1秒でカタがついてしまった。"事実は小説より奇なり"とは正にこの事である。こうして今の大学病院とは今月いっぱいでアディオスすることとなってしまった。

 あとはI講師であるが、ご丁寧なことに「リスクを犯すよりも、安定した環境を選んだ方が将来のためだぞ」と前日に一言。安定した環境?(゜Д゜)ハァ??残りの人生、夢も希望も無い仕事を続けて惰性で過ごすのが将来のため???そういうセリフはもう後先無くなったリストラ親父に言う言葉だろうが、ワタクシはまだ30だコノヤローーー!ボコッ(マイクを叩きつける音)!!カンカンカ〜〜ン(ゴングの音)!!!・・・・・とまぁ、某ピン芸人風に批判してみた今日この頃であった。