アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

IN ROCK

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「"貧困は恥ではない"というのは、全ての人間が口にしながら、誰一人心では納得していない諺である」

By アウグスト・フォン・コッツェブー


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


 最近のニュースはどれを見ても某カリスマ美容整形外科医令嬢の話ばかり、しかもどの局も同じ事しか言っていない。果たしてテレビ屋の辞書の中に「独創性」って言葉があるのかどうかぜひ知りたいモンである。しっかしこのドクター(母親)の儲けっぷりは凄いモンである。ワタクシも開業医の知り合いは何人かいるが、流石にチョロQを買うような感覚でフェラーリ買えるような人は見た事がない。こういう人達がマジでいるから全国の医学部競争熱は少子化にも関わらず収まらないのであろう。実際、あんなに儲けられるのはほんの一握りでしかないに関わらず、である。


 カラクリを説明してしまうと、美容整形というものは言い換えればヒトのカスタマイズなのである。クルマや電ガンのカスタムが、それを行う事によりメーカー保障が受けられなくなるのと一緒で、ヒトの故障もヒトがノーマル状態なら健康保険が通るのだが、カスタムするとそうは行かなくなる。つまり美容整形というものは保険外の医療行為→保険が効かない→医療費は定量でなく言い値、なのである。日本に限らず、世界中にはたった3kgの脂肪を取るために100万円出してもいいと言う人は少なくない。そういう方々を上手く呼び寄せて、高い値段を吹っ掛けて、手術台に乗せる。これが儲ける秘訣である。


 そのために必要な技量は何か?と問われればワタクシは"口"と答える。開業で設ける方法は如何にリピーターを作るか、如何に評判を広められるかである。勿論「あそこはヤブだ」と言われないだけの"腕"は必要なのだが、テレビみたいに儲けるためにはやはり"口"が一番重要なのである。石ころを如何にダイヤモンドと思わせられるか、果ては石ころだとバレても如何に再度ダイヤモンドと思わせるか、その能力が重要なのである。言い換えれば"赤ひげ先生"に開業医は務まらないのである。勿論、ワタクシの様なパンク医師なんぞに開業医が勤まるわけが無い(笑)


 さて、またまた時事ネタで申し訳ないが、同じくニュースで五月蝿いぐらいに繰り返し放送されている某奈良県の放火高校生であるが、不謹慎で申し訳ないがワタクシには彼の気持ちがよ〜〜く分かるのである。何故かと言えば、アレは15年前のワタクシそのものだからである(まぁ、ワタクシんトコはあそこまで事情がややこしくないが)。あのテの父親の考える事は大抵一緒「息子に跡を継いで欲しい」の一言に尽きる。誰のために?息子の幸せのために?十中八九「ノー」である。自分と同じ道を歩むのを見て、自分が満足したいだけである。一種の【防衛機制】である。


 あのテの父親というものは、息子の実力云々に関わらず無理矢理医学部に入れて医者にしてしまおうと考えるモンである。1つは医者になれば、遅かれ早かれ医者と言う仕事の素晴らしさが何時かは分かってくれるという考え。もう1つは医者という仕事は潰しが効かない職種であるから、とりあえずは医学部に入れてしまえばいいという考えである。三流私立医大の競争率がやたら高いのもこのためである。一流の環境だろうが、三流の環境だろうが、とりあえず医学部さえ卒業して国家試験に受かれば誰でも医者になれるからである。その証拠に、ワタクシの様なクレイジーなオタクでもご覧の通り医者になれるのである(爆)


 ここで一番悲惨なのが、本来医者になれるだけの能力を持たない者が"とりあえず医学部に入る"事なのである。"超"が付くほどヒマで好奇心の強いロンマニアの方がいらっしゃったら、是非とも一度国家試験合格率ワースト5に入る大学の図書館を見学する事をオススメしたい。高い確率で30代後半〜40台前半の人が国試の攻略本みたいなモンを齧り付く様にして読んでいるのを目にするはずである。これが本来の力を無視して医学部に入った人間の哀れな姿である。大学は卒業したけど医者になれない、かと言って医学部卒業者は医者以外の選択肢が無いためである。さらに酷いのになると「せっかく卒業したんだから」と諦めさせずにメシを食わせる両親がいたりして、いわゆる"医療ニート"状態の人もいるのである。


 ハッキリ言ってしまえば、医学部を卒業するなんて誰でも出来るし、更に言えば真っ当な医学部を卒業できれば国家試験をパスして当然なのである。ワタクシも国立大学医学部出身だから知っているのだが、国立大は国家試験の2週間前までさも当たり前かのように卒業試験とかやっていたりする。あん時のワタクシは国試の勉強と卒試の勉強のダブルパンチで、爪に火どころかチャーシュー・・・ぢゃなくて火ダルマ状態だったりしてた(核爆)それに比べれば私立大学(特にレベルの低いトコ)は5年生までで講義が全て終わり、残りの1年を丸々国試対策に使えたりするにも関わらず、あの合格率であるから学生のレベルは推して知るべしである。まぁ国立にもワタクシみたいなアホがいるし(原爆)、三流私立にも優秀な人はいるから一概には言えないが(^_^;)

 
で、医学部は補習&追試の積み重ねで卒業できても、国試はそうはいかない。やはり国試になると誤魔化しが全くと言って良いほど効かないから、ここで本来医者になれるヤツとなれないヤツとがクッキリ分かれる。医者になるには人格云々もそうだが、やはりある程度の脳ミソのキャパとメモリーが必要なのである。国試通っても問題を起こすヤツがいるのだから、通らないヤツは尚更である。ワタクシも6年生の頃ははダンボール箱十数箱分の資料を1日16時間脳ミソに詰め込む作業を8ヶ月近くやっていたモンである。「医師国家試験」、ワタクシが最も忌み嫌う言葉の一つである(笑)


 というわけで、ワタクシに子供が出来たら(出来ない可能性の方が未だに高いが^_^;)本人の意思と実力が無い限り絶対に医学部には入れないつもりである。医者になりたかったら国立大医学部のみOK、私立(モノホンの一流私立は除く)に行くんだったら学費は自分で何とかしろ。というつもりである。大学は出たけど医者になれない→医者になりたいけど国試に受かる実力も無い→別の仕事探したいけど医学部出身だから医者以外にはなれない→国試に全てをかけるしかない、の無限ループを味あわせたくないし、それ以前にワタクシは"ニート"が大嫌いである(爆)とまぁネタが無くてホントに久しぶりにマジになってしまった今日この頃であった。