アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

SUNBATHER

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「人の目は百里の遠きを見れども、その背を見ず。明鏡といえどもその裏を照らさず」

By 貝原益軒


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*オタクになる為に心掛けておきたい事

 サブタイの答えは「自分の知識が真実で正義だとは思わない事」である。人間ってナマモノは、誰しもがオタクになる素質があるのである。言い方を変えれば、F1ドライバーやメジャーリーガーとか大学教授ってのは、ある意味究極のオタクとも言えるのである。じゃあこういう人達と、声優やアイドルのライブとかでオタ芸やってたり鉄道がやってくるのをカメラ構えて大勢で待ってるヤツ等と何が違うのかといえば、この「自分の知識が真実で正義だとは思わない事」にあるのである。前者は純粋に何かに魅了された結果としてなるモンであり、後者はテメェの居場所とプライドを求めてなるモンだからである。前者は今あるソレが正解でなくっても別に構わないのだが、後者にとっては目の前のモンが真理でなければならないのである。



 ちゅーのもオタクになりたがるヤツってのは、その得意分野における知識の収集と造詣の深さに、フツーの社会生活では得られなかったアイデンティティーを抱いているからである。よーするに「ソレに徹底的に打ち込んでる俺は、何も打ち込むモンが無い一般人よりも偉い」って拠り所を、自身の得意分野に求めているのである。だからテメェの見解と少しでも違う意見にぶつかると批判せずにはいられないし、テメェの見解を否定されるとキレだすのである。何故ならその見解を否定されたら、テメェには何も残らなくなってしまうからである。オタクは趣味故に嫌われるのではなく、その態度や考え方がアレゆえに叩かれる。だから良いオタクになりたいのであれば、自分の知識を絶対視してはならないのである。


裏口入学をオススメしない理由

 ワタクシは国立大医学部卒なので、裏口入学だとかそういうのとは無縁の環境で大坊時代を過ごしてきたのである。だから【文科省のお偉いさんが便宜を計る見返りにテメェのガキを医大に裏口入学させた件】に関しても、然程面白い事は言えない次第である(^_^;)が、1つだけ言える事は「医大裏口入学は止めとけ」って事である。何故かと言えば医学生ってのは医学部を卒業すれば終わりなのではなく、医師国家試験に合格して初めて意義を持つからである。無論、基礎研究をやるのなら話は別だが、この手のボンクラが基礎をやりたがるとは思えんのである。でもって慶応とかその辺りの私大医学部なら兎も角、国試合格率が7割を切るようなトコに裏口でしか入れないってなら、恐らく入学して卒業できたとしても、国試で躓く可能性大だからである。



 高坊の頃に5浪6浪してやっと医学部に入って、卒業したは良いけど何回受けても国試に合格できず、死んだ魚の様な目で参考書と睨めっこしてる。偏差値が下の方の私立医大の図書館で良く見られる光景である。最近じゃ大学側もソレを気にしてか、国試に合格出来なさそうなヤツはバンバン留年にしまくってるらしいけど、いずれにせよ学力が無けりゃ医者にはなれないのである。そう、裏口入学の何が問題かって、国試の合格までは保証できない事にあるのである。医学部の特殊なトコは何かって、他学部とは違って潰しが利かないトコにあるのである。医学部卒業者は医者と研究者以外の職は実質無く、国試に合格出来なければ高卒と同様なのである。だから医大裏口入学はオススメできないのである。


 でもって何とかムリヤリ国試に受かったとしても、医者になったらなったでまた更に問題が出てくるのである。国試に一発合格するような地頭の良いヤツと一緒に仕事して競争してかなきゃならんのだから、付け焼刃で医者になったヤツはソコでも更に行き詰ってしまうってワケである。よーするにワタクシは何が言いたいかって言えば、医者になって良いのはこういうヤツである:

  1. 地頭が良くて、フツーの受験勉強で国公立の医学部/医大に合格できるヤツ
  2. 親が経済的に超豊かで、(1)ほど賢くなくても多少は何とかなるヤツ
  3. 医学という学問に心底魅入られていて、医学を極める為ならば全てを犠牲にできるヤツ

この3つの何れかを満たしてないのであれば、残念だが医学部は受験しない事をワタクシは強く推奨する次第である。世知辛い話ではあるが、世の中には向き不向きがあるのである。身長160cm以下がバスケやアメフトにに向かない事や、身長2メートル以上がモタスポや体操に向かない事と同様に、医学部にも向き不向きがあるのである。頑張れば何とかなるんだったら、今頃世界は戦争や飢餓の無いユートピアになってる筈である(笑)


*自慢じゃないが

 因みにワタクシの場合、満たしていたのは(1)である。ワタクシは医学部受験も国試受験も、本格的に気合入れたのは夏休みが終わってからであり、高3や大6の夏休みは思いっきり遊び倒してた筈である(笑)ちゅーのも春や夏に勉強して覚えた事なんて時間が経ったら忘れてしまう→結局秋か冬にもう一回やり直して二度手間になってしまうので、ソコから「だったら夏休み終わってから本気出せばいいじゃん( ̄▽ ̄)」って考えに至ってしまったのである(爆)ソレでも国立大医学部には受かったし、国試も一発で合格したのである。自分で言うのも大変アレであるが、やっぱワタクシには勉強の才能があったのである(核爆)理不尽だとワタクシも思うけど、やっぱ勉強も才能だと思うのである(^_^;)


 何ちゅーか、ニッポン社会は自由を蔑ろにし過ぎだと思うのである。ニッポン人の多くが「公務員ガー」「医者ガー」っていうのは決して「ニッポンを良い国にしたい」とか「ニッポンを医療大国にしたい」とかじゃなく、殆どが「安定した生活ガー」「老後の安心ガー」っていう利己的な動機なのである。無論、安心や安定や安全が悪いとは言わん。が、ソレは自由や本来の才能を犠牲にしてまで得る価値のあるモンなのかって話である。昔までのニッポンは戦後まだ貧しい時期が幾分か続いてた→安心と安定と安全は何よりも重要な宝だったが、今はもうそういう時代じゃないのである。もう何をどうやっても昔には戻れないんだから、自由と才能を信じて生き方を決めるべきだと思う今日この頃であった。