ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m
「頂上にたどり着いて、たとえ綺麗な夕焼けに出合えなくても、そこで思わぬ体力がついている事の方がすごいでしょ。夢を追いかけている自分、追いかける時に力がついてくる事実の方が、夢を手に入れたかどうかよりももっと素敵な事なんじゃないの」
Ｂｙ 桃井かおり
といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。
ネタが思いっきり古くて申し訳ないのであるが（笑）西武（来月には"元"になるであろうが）の松坂の落札額が６０億円である。で、この６０億ものカネというモンは、西武を球団ごと丸々買える額なのだそうである。「メジャーリーグと日本プロ野球との格差は実は殆ど無い・・・・・」とか言う報道もあるが、この落札額を見れば格差は一目瞭然である。映画評論家の故・淀川長治が戦時中に「どうしても映画が見たい！」という思いで当時厳しかった検閲の目を潜り抜けてようやく手にしたのがディズニーの「ファンタジア」であり、それを見た淀川長治が「こっちの子供達は食うもんも食わずに必死に生きているのに、向こうの子供達にはこんなものを観る余裕があるんだ。こんな連中と戦争して勝てるわけがない」と思ったそうであるが、ワタクシもたった一人の選手を獲得するために日本の一球団を丸ごと買えるほどの額を出せるメジャーリーグ（球団）の底力を見て淀川長治と同じ事を考えてしまったモンである。
で、ワタクシ的に一番面白かったのはボストン・レッドソックスと代理人のスコット・ボラスが商売っ気を全く隠そうともしないことである。メジャー球団が日本人選手を欲しがる最も大きな理由が「経済効果」であることは表立って公表はしていないが有名な話である。ロサンゼルス・ドジャースは野茂で、シアトル・マリナーズはイチローで、ニューヨーク・ヤンキースは松井秀で、放送権やグッズ売り上げや観客動員数増加などで１００億円以上の収益を上げている。勿論、選手本人に支払ったとされる"前代未聞の巨額年俸"よりも遥かに上である。それ以上に、「ＬＡ」とか「Ｓ」とか「ＮＹ」とかのロゴの入ったウェアを身纏った人が増加する事によるサブリミナル効果（特に野球少年達への）は絶大である。
あの代理人スコット・ボラスのインタビューを見て、ワタクシも思わず笑ってしまったモンである。テロップでは「松坂」といった事になっているのだが、良く聞いてみるとボラスは"Matsuzaka"ではなく"D-Mat"って言っているのである。以前からボラスが用意していたと言われているニックネームである。もうこの時点で商魂マンマンなのを隠していないのが色んな意味で天晴れである（笑）あくまで松坂が活躍したらの想定であるが、恐らくレッドソックスもボラスも某ボクシング三兄弟よろしく松坂で大々的に商売するプランを立てているのであろうとワタクシは勝手に予想していたりする。落札に６０億も出せたのは、その投資を補って余りあるだけの収益が見込めるからであろう。"D-Mat"ってニックネームも、恐らくは日本向けではなくアメリカ国内にアピールするのが狙いであろう。
にしても、時の流れは早いモンである。野茂が９５年にドジャースで鮮烈なデビューを果たした時にどっかの本に「野茂の活躍を見た野球少年達が日本を離れる時が来たら・・・」とあったのを思い出す。９５年といえば松坂は中学生であり、インタビューでも松坂は「少年時代、野茂さんの活躍を見て・・・・」と言っていたのを今更になって思い出す。つまり、ホントにその時が来てしまったのである。んで、その頃は野茂を異端児扱いして「第二、第三の野茂を作るな！」で団結していたはずの日本プロ野球界も、済し崩し的に何時の間にか変貌していて、今では「ウチのエースが６０億円で売れました」と笑顔で記者会見する球団社長が現れるほどである（爆）時代や社会も変われば変わるモンである。
コレがワタクシが未だに「好きなスポーツ選手は」と尋ねられると、迷わずに「野茂英雄」と答える理由の一つである。恐らくこの先、野茂以上に実力のある日本人メジャーリーガーが出て来るであろう事は想像に難くない。たとえソイツがワールドシリーズの先発マウンドを任せられて、サイ・ヤング賞を取るようなヤツであっても「野茂が一番」という考え方は変わらないであろうと思う。「たった一人の力で社会を変える事なんて無理。逆らわず流されず上手く付き合っていくのが一番」という"常識"に対して真っ向から「ノー」を突きつけ、それを現実にして社会（この場合日本プロ野球界）を変えてしまった。ワタクシが野茂に魅かれる一番の理由がソレである。
にしても６０億かぁ、ワタクシもそれだけ稼げる男になりたいモンである。ここだけの話、医者という職業は実に儲けが悪い（笑）大金稼いでいるのは開業して成功している一部の"商売上手"な方々だけで、それ以外の医者というのは皆様が想像されている以上に儲けていない。むしろ肉体的＆精神的＆時間的な消耗と比較すると（相対的に）余りにも安いので「やってられるかぁぁぁぁぁ！！！」と言うヤツも少なくない（実話）とはいえ人間、欲を出すと大抵ロクな事はない。ここは地道にコツコツと・・・・行っても６０億は無理だろうなぁと溜息が漏れる今日この頃であった。
