アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

VALLEY OF THE DAMNED

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「足るを知れば辱められず、止まるを知れば危うからず」

By 老子


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*長さと強さ

 スポーツタイプのクルマのブレーキと、そうでないクルマのブレーキ。その違いは何でしょうか?両者を乗り比べた事のあるロンマニアの方ならお分かりかと思うが「何に対してブレーキが利くか」である。スポーツタイプのクルマは踏力に比例してブレーキが利くのに対して、非スポーツタイプのクルマはストロークの量に対して利く。だからスポーツタイプのクルマのブレーキはコントロールしやすく、そしてコレはサーキット走行に限った話じゃなく、フツーにワインディングする上においても重要なのである。でもって、そうでないクルマはストローク量によって利く。ぶっちゃけた話子供の踏力であろうとも、奥まで踏み込めばABSが利くぐらいのハードブレーキが出来る。ワタクシが今まで代車として宛がわれたクルマは、ノルドさんのBMW320i(E46)以外は全部ストローク型なのである。


 やっぱコレはクルマが育った環境によるモンだとワタクシは思うのである。欧州じゃ交差点はロータリーが多いからストップ&ゴーが少なく、制限速度も高い(峠道みたいなトコでも90〜100km/hはフツーに出す)→スムーズに曲がるためにはコーナリングブレーキが必要になるため、ブレーキは自ずと踏力型になるのである。ところが日本だと信号や渋滞が多いからストップ&ゴーの機会が多く、街中じゃ制限速度は40〜50km/hぐらいしかない→コーナリングブレーキをしなくても曲がれる&ブレーキ踏む時≒クルマを止める時だから細かいブレーキのコントロールが不要となり、逆にどんな時でも確実に止まれるストローク型が良くなるワケである。ソコんトコを割り切れれば日本車ももっと選び放題なんだろうけど、拘り即ちワタクシの人生なんで(笑)


*ブレーキコントロールの難しさ

 日本でモータースポーツが普及し難い理由の一つに、上記のソレがあるんじゃないかなとワタクシは思うのである。欧州じゃ「スポーツドライビング=日常の運転の延長線」なのであるが、日本はそうではない。つまり日常でスポーツドライビング的な運転をしない事がデフォルトになっちゃってるから、取っ付きが難しいのである。だから「止めるためのブレーキングと曲げるためのブレーキング。違いは何ですか?」って質問に的確に答えられる人が周囲には殆どいないし、練習するための場所も殆どない。世界トップ10に3社もある自動車大国だけど、未だにトップカテゴリーのチャンピオンを生み出せない日本。人口900万人で自動車産業もないけど、数多くのF1やWRCチャンプを生み出しているフィンランド。両者に違いがあるとしたら、やはり「日常にスポーツドライビングがあるのか否か」だとワタクシは思うのである。


 そんな事言っても今すぐ日本にスポーツドライビングが根付くはずもないし、かと言ってフィンランドに移住する甲斐性がワタクシにあるはずもない(笑)今いる場所で、今できる事を精一杯やるしかないのである。さて、Sオーナーからの宿題である”4輪をフルに使ったブレーキング”であるが、未だに完璧にはいかないのである(^_^;)概要は大体イメージできたが、身体が動かないって話である。まずおさらいであるが「何故フロントブレーキばかりに負担が掛るのか?」の答えは「ABSを作動させているから」という事である。ABSはあくまで「ブレーキをロックさせない機構」なのであり「ブレーキを有効利用するためのデバイス」ではないというのがキモである。何が問題なのかというと・・・

ブレーキ踏力がタイヤのグリップを超えるとABSが作動する

後輪がロックするとクルマはスピンモードに突入するため、ABSは機構上後輪を絶対にロックさせないようになっている

前輪がロックする(どんなクルマでも必ず前輪から先にロックするようになっている)とABSが作動する

その時、ロックを防ぐため後輪のブレーキ圧はABSにより大幅に緩められる

そのせいで荷重は更に前寄りになり、前輪のブレーキの負担は更に増える

結果前輪ブレーキに過剰な負担がかかり、過熱から早期摩耗をきたす

( ゚Д゚)マズー

サーキットとか行ってる人で「純正ブレーキは使えない。すぐ熱でダメになってキャリパー開くから」と言ってるような人は、大概コレなのである。でもって使い方を聞いてみると「親の仇みたいにブレーキを踏んでいる」ってヤツが殆どであり、ショップもショップで「純正は使えない。だからウチのキャリパーを・・・」なんて勧めてくる。メーカーだってバカではない。熟練したテストドライバーと経験知識豊かなエンジニアが何年も検証して作ったブレーキがソレなのである。ソレが編摩耗するというのであれば、まずは自分のドラテクを疑うべきなのである。


*とりあえず仮回答

 あと何回か練習して分かった事なのであるが、ABSが作動する直前に急に前のめりになる場合があるのである。確信してるワケではないのであるが、やはりこれも「後輪を絶対ロックさせない」ってABSの制御なのではなかろうかと思うのである。ンでもって、ロックするブレーキ踏力と速度は比例してるんだから、ソレに合わせて踏力も落としていかなきゃならないワケである。コレをグラフに書くとこんな感じである:

ブレーキを踏むと慣性の法則によりスノーズダイブして挙動が乱れるから、ソレを落ち着かす意味でもブレーキはジワリと踏む。限界が10だとすると、最初に8ぐらいまでグッて踏んで、ジワリと9.9まで上げてくと言った感じであろうか。あとは速度が下がるにつれて「後輪のブレーキ圧が下がるゾーン」に突入するとノーズダイブが起こるから、僅かにブレーキを抜いてノーズを持ち上げる。あとはステアリング舵角を入れるのと同時にブレーキも抜いて、コーナリングとアクセルに集中する。そんな感じであろうか。


 一番の問題点は「相変わらずワタクシの踏力が強過ぎる」という点であろうか(笑)何せデカくて重い図体で筋肉質なモンだから、下半身の筋力がシャレにならないのである(^_^;)パワーがありすぎると何が問題かと言ったら、細かいコントロールが難しい事がソレなのである。米粒に絵を描くことを想像していただければ、ワタクシの困難を理解してもらえると思うのである(爆)昔言われた言葉に「アクセルはアホでも踏める。難しいのはブレーキを踏むこと」というのがあったが、今になってやっとその言葉の意味が分かったって感じである。でも問題がまだ一つあるのである。ワタクシはブレーキを踏めていないのもそうであるが、同じかソレ以上にアクセルを踏めていない→ワタクシはアホ以下だという大問題であるが(核爆)ソレは次回に持ち越そうと思う今日この頃であった。