アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

WOMB OF LILITHU

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m


「現在の社会は、支配される社会と、各人にとって有利かつ合理的な考え方によって支配される社会とに区別して考える方が、はるかに自然である。そこでは、暴力のみが人々の行為を決定する」

By レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ


 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*なぜ規則を守るのか

 よくドイツ人とニッポン人は「規則を厳格に守る民族」として並び称されるが、その根本にある考え方は全く異なるのである。何故ドイツ人がルールを守るかって、その方が合理的だからである。規格を作ってルールを守った方が生産効率が高いから、ドイツ人はそうするのである。つまり逆に考えれば、そうした方が効率が高いのであれば、ドイツ人は規格やルールを破る方を選ぶのである。例えばクルマの往来が無いトコで赤信号になったとしたら、躊躇わずに道を渡っちゃうのがドイツ人なのである。別にドイツ人だけに限った話ではなく、ヨーロッパ人ってのは多かれ少なかれそんな考えをするモンであり、分り易い例が欧州サッカーやF1である。ルールの裏をかいたり、見えないトコで政治的駆け引きをするってのは、基本狩猟民族なヨーロッパじゃ当たり前の事なのである。


 ココまで書けば察しの良いロンマニアの方なら気付くと思われるが、ニッポン人が規格やルールを守るのは、合理性以外の理由の方が大きいのである。ニッポン人が規則を守るのは、仲間外れにされたくないからである。ニッポン人は自他共に認める「和の民族」であり、その和の中に居る限りはコミュニティー内での手厚い庇護や利益を享受できるが、和を外された途端に部外者となって庇護や利益を失ってしまうのである。そして規則を守るという事は、ソレ即ちコミュニティーへの忠誠の証なのである。だから無視したって構わんトコでも無駄に規則を守ろうとするし、ソレが非合理的と分かっていても規則の方を優先してしまうのである。基本農耕民族なニッポン人にとって和の中での安心と安全は、合理性追求による利潤を上回るのである。


*利便性と合理性を知ってしまったニッポン人

 ココ最近の【マンガがタダで読めるサイトが云々】ってのに対し「違法性ガー」って騒いでるのも、つまりはそのニッポン的な順法精神によるモンだとワタクシは見てるのである。マンガでメシ食ってる人達は当然の事だが、そうでない人々が反発してるのも、偏にコレが「違法だから」である。だかワタクシの見解はちょっと違ってて、ワタクシ的にはこのサイトが合法か違法かは、正直な話どうでもいいのである。ワタクシが一番注目してるのは「このサイトがメチャクチャ合理的である」という事である。このサイトをブロッキングしたり、運営者を逮捕する事は簡単であろう。が、この圧倒的な合理性と利便性を知ってしまった読者達は、恐らくもう二度と不便な過去には戻れないであろう。有料である事が問題なのではなく、非合理的で不便なのが問題なのである。



 人間というナマモノの歴史は利便性追求の歴史であり、利便性追求の為ならば人間はあらゆる労力と犠牲を払ってでも邁進するのである。そうやって人間は火薬をモノにしてきたし、飛行機をモノにしてきたし、原子力をモノにしてきたのである。火薬や飛行機や原子力に比べれば、違法マンガサイトなんぞ屁でもないのである(笑)このマンガサイトの圧倒的な利便性を知ってしまった読者は今後も同様のサイトを渇望するだろうし、需要があると分かった供給側はあの手この手を駆使して類似サイトを開設してくるであろう。でもってニッポンは中国や北朝鮮とは違って表現の自由が保障されているので、規制をかけるのも自ずと限界があるのである。つまりこの路線で行く限り、出版社側の勝ち目は非常に低いのである。


 ワタクシは以前から言ってきた事であるが、音楽やゲーム同様に、本ももう物理ハードだけでやって行ける時代は終わってしまったのである。多分ソレやったら印刷や流通や書店や問屋が逝っちゃうからしたくても出来ないんだと思うけど、もう電子書籍とウェブ雑誌と定額読み放題制に移行する時代になってしまってるのである。もうコレは「やれるかやれないか」ではなく「やらなきゃ終わる」って状態なのである:

今までは知らなかったから議論されなかっただけであり、知ってしまった以上は議論せずにはいられなくなるし、順法精神に訴えるだけじゃ力不足なのである。和の精神も通信手段が限られてたからこそ有効だったのであり、ネット社会な今において大した抑止力にはならんのである。


*出版業界がこの先生きのこるには

 こう書けば、この手の違法サイトに対する対処法が分かると思うのである。そう、有料でも別に構わないから、違法サイトが霞むぐらいの利便性を提供すれば良いのである。具体的に言うと、スピードと品質と保証、コレを買って貰うのである。分り易く言うと、TRDやNISMOや無限やSTIのチューニングパーツやコンプリートカーみたいなモンである。変にチューニングを禁止するよりも、メーカー公認の質が確かで保証も付けられるパーツやチューニングを提供した方が儲かるし、長い目で見ればそAMGみたくブランド価値も上げられるといった事もあるからである。海賊版サイトよりも早く画質の高いマンガをアップロードして、支払った料金によってはダウンロードも容認する。コレが出版業界が目指すべき道なのである。


 ワタクシのこの方法が良いのかどうかは、正直ワタクシにも分からんのである(笑)が、一つだけ確実に言える事は「もう時代を元に戻す事は出来ない」って事である。既得権益側がどんなに頑なにテメェの縄張りを守ろうとしても、ネット社会でグローバル時代な今、モノや人や情報は外からドンドン入ってくるし、同じスピードでドンドン出ていくのである。つまり縄張りに固執しても、外のより良いモンに駆逐されちゃうって話である。マジのマジで昔のままでいようとするんだったら、ソレこそマジでネットを封鎖して鎖国するしか無いんだけど、そんな事は間違いなく不可能である。たとえ自分が変わらなくても、周りはドンドン変わっていく。分り切った事だけど、改めてそう思う今日この頃であった。