アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

EMBRACE OF THE GODLESS AEON

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「一定の目的がなければ行為はあり得ないと考えるのは、いかにもガリ勉人生の優等生の意識だ」
By 辻まこと

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*オタクの熱量バイアス
 BNR34が1.2万台、FD3Sが1.6万台、S15が3万台、A80が3.1万台。今中古価格がクソ凄い事になってる90年代スポーツカーの筆頭格の、其々のニッポン国内での累計販売台数である。グローバル展開されてる分も混ぜると、その3~4倍ぐらいってトコであろう。蛇足であるが、コレ等4車種と同世代である996型ポルシェ911の累計売上台数(グローバル)は、不人気モデルと言われながらも17.5万台もあったのである、更に蛇足であるが、997型と991型は共に21万台ほどである。でもって残念な事に、我等がR35はニッポン国内での総売上台数が1.4万台、グローバルだと2~3倍ってトコであろう(´・ω・`)

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 そう、以前から何度も言ってる事であるが、皆の憧れの的である90年代スポーツカーが消えたのは排ガス規制のせいでもなけりゃ、バブル崩壊のせいでもないのである。ただ単純に「利益を上げられなかったから」である。インプとランエボがそうであるが、売れてさえいれば規制対策を施された上で売られ続けられるのである。その売れなかったシロモノが何故今のあのアホみたいな中古価格になってるかって、やはりオタクの熱量が高過ぎるからであろう。MtGのブラックロータスと一緒で、一般人的には何の価値も無くても、オタクがソレを熱狂的に信奉するからこそ値が上がるソレである。

*The優等生
 結局スポーツカーってのは「10人中9人は興味無いけど、1人がソレを大好きだからガッツリ払う」って商売だからこそ成り立つのであり、一般的なクルマのソレに毛が生えた程度の利益率しか無ければ、そりゃ商売として成り立たんのである。あの時代のスポーツカーが上手く行ってたのはバブル期というカネが余りまくってた時代だったからこそ成り立ってたのであり、そうでないのならばステータスシンボルとして使えない&リセールも二束三文なクルマを余計なカネ出して買おうとは思わないのである。でもって残念な事に、あの時代はもう戻ってこないであろう。

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 あと思うのは、ニッポン車メーカーって何処も優秀なクルマを作る優等生だからである。優等生が作る優秀なクルマだから、当然の如く使い勝手も信頼性も抜群なのであるが、だからこそスポーツカーに必要なブランド性が育たないって事である。ロンマニアの皆様が「良いクルマ」って言葉を聞いた時、多分思い浮かぶのかこういうクルマであろう:

  • 信頼性が高く、余程の事が無い限り壊れない
  • 安全性が高いから事故り難い&事故ってもケガをし難い
  • 走行性能が高くて乗り心地が良い
  • 運転し易くて色んなモンの使い勝手が良い
  • 人やモノの積載能力が高い
  • 燃費が良くて一回の給油で長く走れる

といったトコであろう。無論コレ等は何処のどんな車種であろうとも追求しなきゃならんモンであり、コレを追求しないのは優等生でも劣等性でもなく、単なる落第生である。じゃあ何故優等生がブランドを獲得し難いかって、この条件までも満たそうとするからである:

  • 安い

この「安い」が曲モンであり、上の条件の更なる追求にはコストが掛かるけど、売る為には安くしなければならないという二律背反に陥ってしまうのである。ソレを同時に満たす為にはどうしなきゃならないかって、答えは「何処かで妥協しなきゃならない」であり、この妥協がブランド力向上の足枷になってるのである。

 今は大分良くはなってきたけど、ニッポン車って色んなトコで妥協してたりするのである。ニッポン車でもニュル北でテストを行ってる車種は結構あるが、アレ実は完成後に短期間テストしてるだけなのである。水野氏時代のR35みたいに朝から晩までニュル北を走り込むテストを1ヶ月間ブッ続けでやるトコなんて皆無なのである。何故かって、ニュル北テストはカネが掛かるからであり、コストを抑えるためにニッポン国内で殆ど全部開発して、仕上げに短期間だけニュル北走るのである:
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コレに限った話じゃなく、純正パーツの素材とかセッティングの詰めの甘さとか、そういう類の妥協がニッポン車には未だに色々あるのである。この妥協による差は100人中99人は分からんけど、分かる1人はソレに違和感を感じ、高いカネ払って外車を買っちゃうのである。その1人をお得意様にするのがブランド形成における第一歩なのであるが、優等生にはソレが出来んのである。

*優等生は最大公約数が大好き
 そう、優等生には「10人中8人に嫌われても、残った2人に猛烈に好かれれば良い」って考え方が出来ないのである。フェラーリランボルギーニがソレであるが、その2人が超大金持ちの猛者であれば補って余りあるのである。が、優等生だからこそ「企業として最大公約数の利益を得るにはどうすれば良いか」をマジメに考えてしまい、その結果「その2人は外車メーカーにくれてやって、残った8人をより良く満足させた方が利益率が高い」っていう実に優等生な結論に至ってしまうのである。今を時めくGAFAは何れも大衆ブランドであり、利益を最も上げられるのは何時の世もマスブランドなのである。

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 だから最大公約数の利益を出そうと思うのなら自ずと大衆車中心のマスブランドを目指すのが最適解になるのであり、スポーツカーを売るに必要なブランド性やステータス性は後回しにされてしまうのである。だからマジのガチでクルマ作りを徹底追及しようとは思っちゃいないし、経営状態が悪化したり景気が悪くなったりしたら、真っ先にスポーツカーを無くしてしまうのである。例えばホンダとかホンダとか、あとホンダとかである(笑)確かに優等生は安定した生活を約束してくれるが、エキサイティングな人生は劣等生とじゃないと歩めないと思う今日この頃であった。

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