アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

DREAMING NEON BLACK

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「映画はでき上がったときから回想されるという形式であり、歴史と同じように、二度目に現れてくるときは、受けとり手の想像力の中でしか生きられないものである」
By 寺山修司

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*二次元原作の難しさ
 二次元コンテンツを三次元化する事の何が大変か。ソレはズバリ「三次元化した時の違和感を無くす事」に尽きると思うのである。原作要素を忠実に三次元化する事は不可能だし、かと言ってアレンジやオリジナル要素を入れ過ぎると原作との乖離感が強くなり過ぎる。今流行りのMCUなんかは原作が元々フォトリアルだから問題ないが、ニッポンの二次元作品は現実から離れ過ぎてるので大変だと思うのである:

ゆっくりクソ映画レビューvol 14:「デビルマン」前編

中島健人×中条あやみ主演!映画『ニセコイ』予告
ソコを失敗すると、この様に悲惨な事になってしまうのである(笑)今はこうして動画サイトで予告観てある程度地雷を避けて通れるようになったが、ネット無かった昔はホントシャレにならなかっただろうなと思うのである。

 ただソレが上手く行くと、結構面白い事になるのである。ワタクシが近年高く評価してるのが「るろうに剣心」の実写版である。分かり易く言うと「飛天御剣流がリアルにマジで存在するとしたら、こんな感じになるんだろうな」ってのを上手く映像化して、その他原作要素を上手に三次元化出来てるトコがワタクシ的に高評価なのである:

Sword-fighting scenes from Samurai X(Rurouni Kenshin movies)
確かに原作とは結構離れたモンになってしまったけど、その代わり斬新な殺陣アクション映画が観られたので、ソレが良かったとワタクシは思うのである。要するに実写化ってのは、制作陣のセンスがこの上なく問われる作品なのである。

*ビックリするほどオリジナル
 邦画で国内だけでやるにもこの苦労なんだから、外国のスタジオがニッポンの二次元コンテンツの実写化にチャレンジするとしたら、ソレは想像を絶するほどの苦労があると思われるのである。上記の「二次元→三次元」に加え「東洋作品→西洋作品」のコンバートも加わるのだから、苦労は更に厳しいモンがあると思うのである。実際、ソレで思いっ切り失敗した映画を、ワタクシは観た事があるからである(笑)

ドラゴンボール Evolution (字幕版)
今思い出しても、ココまで酷かった実写化は無かったのである(^_^;)映画の終わり頃には続編のソレを匂わせる演出があったのだが、続編なんぞ出てない事は最早言うまでもないであろう(爆)だからハリウッドとかがニッポンの二次元コンテンツを実写化するって聞く度に、ワタクシは身構えてしまうのである(核爆)

 ところが今回観た【シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション】は良い意味で裏切られたと言って良いのである。この映画を一言で言うと「ビックリするぐらいシティーハンターそのまんま」ってトコである。上記るろ剣のソレみたいに三次元をベースにしてソコに原作要素を上手く当てはめるのではなく、徹底して三次元の方を二次元に可能な限り近付けるのである。でもってソレが違和感バリバリなのかと言われればそうではなく、ちゃんと観れるモンになってるのである:

『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』本予告
何ちゅーか、制作陣の凄まじいまでのシティーハンター愛&ニッポン製二次元コンテンツへの愛を感じられるのである。ストーリーと脚本演出はオリジナルなんだけど、そのストーリーと脚本演出すらも「原作者が直々にやったんじゃねぇのかコレ( ̄Д ̄;)」ってレベルでシティーハンターしてたから、リアルタイムで原作読んでたワタクシとしては楽しめた事この上ないのである。

 あと何が良かったって、作品の空気感が完全にフランス映画のソレなのである。ユーモアのセンスといい下ネタのエグさといい、ハリウッドには無いフランス映画のソレなのである。同じフランス映画の「Taxi」シリーズが好きな方ならば、きっと好きになれる筈である。シティーハンターの実写化と言えばジャッキー・チェンのアレを思い出したが、アレはアレで最高に笑えたのでギリギリ許すとしようジャマイカ(笑)

シティーハンター 1993年日本劇場公開復刻再現版
ただ「原作にこの上なく忠実で、原作をリアルタイムで知ってる人ならば大ウケする」って事は、逆を言えば「原作知らない人が観たら違和感バリバリ」って事でもあるのである。原作の雰囲気を再現する為に過剰過ぎるぐらいの演出が結構あるのであるが、原作知らない人が観たらドン引きするんじゃないかなとも思えるのである。まぁでもこの手の実写化ってのは基本的に原作ファンが観る事を前提にしてるから、気になるほどのモンでもないと思うのである。

晴耕雨読な人達
 フランス版(とついでに香港版)を観て、一つ思った事があるのである。ソレは「映画の良し悪しは結局センスが決める」って事である。センスがあってソレに沿って上手く作る事さえできれば、原作に忠実だろうが結構離れていようが、観所さえあれば皆は満足するって事である。でもってこの事は、アニメやマンガ原作のソレ以外にも言える事だと思うのである。ニッポンの映画界がハリウッドは言うまでもなく、香港とかインドとか辺りにも負けてしまってるのは、やっぱソコんトコのセンスが不足してるからだと思うのである。作る側もそうだけど、観る側も批評する側もである。だから業界が育たないし、業界が育たないからカネが回って来ないし、カネが回って来なけりゃ良いモンが作れず、その悪循環である。


Sumo - Trailer (Tamil) | Shiva, Priya Anand, Yogi Babu, VTV Ganesh | S. P. Hosimin

 コレはワタクシが長年部外者としてニッポンを眺めてきたから思う事なのであるが、やっぱニッポン人って基本的に芸術や遊びが余り好きじゃないのである。芸術や遊びに時間や労力やカネを注ぎ込む事をムダだと考えてる、そんなトコがあるのである。ちゅーのも”晴耕雨読”って四字熟語がある様に、ニッポン人は勤勉な事を美徳としていて、余計な時間があるなら自分や家族や社会の為に働いた方が良いって感じにである。あと島国で鎖国もしてたから他国の影響を殆ど受けずに、この晴耕雨読メンタリティーだけが肥大化したって感じである。さて明日も仕事なんで、さっさと風呂入って寝ようと思う今日この頃であった。

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