アスペルガー医師ロンの日常

医師でもあり、アスペルガー症候群当事者でもあり、更には911GT3&ロードスター乗りでもあるワタクシのささやか(?)な日常

COLORED SANDS

 ロンマニアの皆様、こんにちはm(_ _)m

「貧乏には美徳などひそんでいない。それはほかの多くの心の病気と同じく、一種の病気である」
By ジョセフ・マーフィー

 といった今日この頃、皆様はどうお過ごしでしょうか。


*貧しさのリアリティー
 先進国で生まれ育つとピンと来ないかも知れないが、一昔前の東アジアが、そして今の中央~西アジア集団主義の部族社会なのかって、答えは「貧しくて社会インフラが貧弱だから」である。貧しいからバイト感覚で悪事に手を染めるし、社会インフラが貧弱で警察や司法がマトモに機能しない事が更に拍車をかけるのである。そんな中でどうやって個々人が身を守っていくかって、部族に頼って生きるのである。部族長の意志や部族の掟に個を犠牲にして帰依する事の見返りにカネに融通を効かせてもらったり、部族のメンバーを互いに守り合う関係を作る事で、インフラの機能しない貧しい社会で生きてけるようになるのである。

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 BLMもある意味集団主義の部族社会と言えるのである。立場の弱くて貧しいモン同士が互いに助け合って、何かあった時は一斉に動いて力を示し威嚇するのである。当然だけどソレやる為には意志の統一が必要不可欠であり、異論反論や個性は好ましくないのである。豊かになって社会インフラが充実して、個人が生きるにおいて部族の助けを殆ど必要としなくなった時、漸く部族社会は自然消滅するのである。だからド貧乏な発展途上国を助けたいと思うのであれば、民主主義よりも先に社会安定と経済成長を促す方が先なのである。部族社会を必要としなくなって初めて、民主主義は上手く機能するのである。

*ビンボー怒りのアフガン
 つい先日タリバンに再占領されてしまったアフガニスタンに関するニュースを見た時、ワタクシが思ったのは正に上記のソレである。何故アメリカの統治が上手く行かなかったかって、アフガン人達が集団主義の部族社会を脱する事が出来なかったからである。あの辺りの人等のアイデンティティーは「自部族の一員>>アフガニスタン人」であり、部族社会において自部族以外は余所者であり警戒の対象であり、他部族は「服従させる」か「服従するか」の2つに1つなのである。だからアフガン政府の面々も「政府なんてどうでもいい。自部族を守る為にタリバン服従しよう」って考えたからこそ、ロクに戦わないで逃げ出してしまったのである。

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 そう、アフガン政府側の人等は「自分等で国を運営して守る」という民主主義国家じゃデフォの発想が殆ど無かったのである。あの人等は単にアメリカに服従してただけであり、アメリカが撤退する&タリバン側のが強いとなれば、アメリカからタリバン服従先を乗り換えるのは必然なのである。ソレと同じなのがイラクであり、イラクサダム・フセインが強引に各部族を服従させていたからこそ”イラク共和国”として機能してたのであり、サダム政権が倒されたら部族社会に逆戻りして部族同士の権力争いが始まってしまったってワケである。

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 じゃあこういうのはどうすれば良いかって、社会を豊かにして、インフラを充実させて、あと学校教育等で民主主義をガキの頃からジックリ教えてくっきゃないのである。たった1年2年ぽっち教育しただけで「部族社会はオワコン!今日から民主主義だッ!」ってなる筈なく、特にソレで今まで上手く生きてきた中高年がテメェの人生を180度変える可能性は非常に低いのである。だから地道にダメなモンを排除していって、子供達を教育していって、民主主義を叩き込まれた子供達が社会の中心を担うまで粘り強くやってくしかないのである。ニッポンだって戦後から結構かかったんだから、アフガンやイラクはソレ以上の時間とカネをかける必要があったのである。

独裁政権は(時として)必要悪
 そう、だからワタクシは独裁政権は必ずしも悪だとは思ってないのである。余所者の言葉に耳を貸さない部族達を纏めて一つの方向に向かわせよう思ったら、時と場合によっては実力と強権が必要になるからである。ニッポン然り中国然り、韓国然り台湾然り、マレーシア然りシンガポール然り。何れの国も独裁政権時代に作られたインフラを基に民主化を果たしたのである。だからワタクシの元祖国のインドネシアスカルノスハルトに対するワタクシの評価は「課題や問題は山積みだけど、取り敢えず良くやった」といったトコである。この二人が作った各種土台があったからこそ、今のインドネシアが完璧ではないにしろ民主化できてるのである。

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 2人合わせて任期53年のガチ独裁者だけど、でもその間にちゃんと民主化への土台作りはしてたのである。ワタクシもガキの頃(スハルト時代)に「民主主義とは何ぞや」の授業をちゃんと受けてたし、自由もソレなりにあったのである。だからスハルト退陣後、今に至るまで20年以上、ちゃんと政権交代しながら民主主義国家として一応やれて来てるのである。もしもソコんトコがロクに出来てなかったら多民族多文化多宗教のインドネシアはアフガン化していて、ワタクシもバイト感覚でテロリストになってたかも知れないのである(笑)実際リアルに携わらないヤツほど、毒にも薬にもならない綺麗事に拘るんだと実感させられる今日この頃であった。

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